不登校相談〜学校に同席も! “区営“駄菓子屋の想像を超えた「おせっかい」とは

シリーズ「令和版駄菓子屋」#1‐2 「よりみち屋」東京都江戸川区 ~店の様子~

ライター:遠藤 るりこ

不登校児と学校の橋渡し役をすることも

よりみち屋では、かつての日本では当たり前にあった“地域みんなで子育てをする”風景の一端が見られます。

「以前から来所していただいている親子がいるのですが、お母さんと初めてお会いしたときは、表情が硬く、目も合わなかった。おそらく精神的な課題を抱えていらっしゃるんだろうな、と思いました」(石川さん)

母親を気に掛けつつ、子どもとの関わりを深めていくなかで自然に笑顔も増え、親子とも和らいだ雰囲気になっていきました。

「日々の子育ては、大変なこともたくさんある。行き詰まったり、疲れたときには、ぜひここへ来て親子でひと休みしてもらえたらなと思うんです」(石川さん)

不登校児とその親が来所し、相談を聞くこともあります。ときにはよりみち屋を飛び出し、学校との話し合いにスタッフが同席したこともあるといいます。

「不登校児を抱えるご家庭って、学校との関係がうまくいっていないことが多いんです。でも、それって仕方ないこと。

親は子どもを第一に思っていて守りたいものですし、学校としてはそれでもやはり登校はしてもらわないと、という建て前がありますから」(石川さん)

そんな両者の間に立って、スクールソーシャルワーカーや担任の先生などと情報共有をしながら、連携をとることも。学校へ登校する前の段階の、リハビリ機関としてよりみち屋に通っている子もいます。

「不登校の子にも必ずプラスの未来がある。信頼関係を築かせてもらった私たちだからこそ、フラットな立場で介入することができていると思います。私たちは、おせっかいな駄菓子屋なんですよ」(石川さん)

スタートでもゴールでもなく よりみちする場所

いろいろな人がミックスになって存在し、尊重されているのが、本来の健全な社会のあるべき姿。「誰一人取り残さない」というSDGsの理念とも重なります。

「それぞれに個性があって、全ての人を大事にしているという姿勢を、子どもたちに自然に見せることが大切なんじゃないのかなと思うんです」(石川さん)

「オープン当初は、『子どもたちがワイワイと騒がしくしているところに、引きこもりが来るわけないだろう』なんて言われていたと思いますよ。でも、このままのスタンスを貫いてきてよかったと思う」と、久木野さん。

「子どもたちって、このおじさんがどれくらい引きこもっていたのかなんて関係なくて、シンプルにゲームができて楽しく遊べたらそれでいいんですから。

当事者たちにとっても、子どもの忖度(そんたく)ないコミュニケーションが大きな救いとなっているんじゃないでしょうか。よりみち屋が他の福祉施設にはない要素は、集う“人”のバラエティ感なんですよね」(久木野さん)

ここでの相談や出会いをきっかけに、今までと違うアクションを起こすなど、これまでの人生を変えていく人たちがいます。その一方で、疲れたり迷ったりしたらいつでもふらりと立ち寄れる、まさに「よりみち」ができる居場所でもあります。

「不登校の子が、あまりにくつろいで寝てしまった姿を見て、みんながあたたかな気持ちになる。駄菓子屋居場所よりみち屋が地域に必要とされていることを実感して、うれしく思います」(石川さん)

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江戸川区が引きこもり支援の一環でスタートした区営駄菓子屋「よりみち屋」。居場所の入り口を駄菓子屋にしたことで、誰もが自然に足を踏み入れ集うことができる、憩いの場となっています。

子育て、不登校、引きこもり……人は誰もがさまざまな“何か”を抱えて日々、生きています。そんな者同士が、一緒にひと息つける居場所が今の時代には必要なのかもしれません。

次回、シリーズ「令和の駄菓子屋」では、全国各地に点在するユニーク店主の駄菓子屋を取材します。


【取材協力】

●江戸川区駄菓子屋居場所 よりみち屋
東京都江戸川区瑞江2丁目4番3号プラウド瑞江102号
営業時間:11時~17時
定休日:土日祝

●江戸川区 福祉部生活援護第一課ひきこもり施策係
※江戸川区では「ひきこもり」と、ひらがな表記をしています。

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えんどう るりこ

遠藤 るりこ

ライター

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe