不登校の子は甘い!? 勉強できなくなる? タツキ先生批判から不登校と勉強の遅れ・教育について考えた![教育ジャーナリストがコメント]

ドラマ『タツキ先生は甘すぎる!』✕新書『フリースクールという選択』2/2 (3/3) 1ページ目に戻る

裁きの眼差しから「信じて待つ」社会へ

ドラマ『タツキ先生は甘すぎる!』は、不登校ジャーナリストの石井しこう氏(フリースクール監修)や、公認心理師・浜端望美氏(アートセラピー監修)といった専門家の厳密な監修のもとで制作されており、教育現場の最新の知見とリアリティをていねいに反映しています。

映像のソフトな色調や、江口洋介演じる「ユカナイ」代表者の三雲英治をはじめ、完璧ではない大人たちの葛藤は、子どもたちのあいまいで繊細な世界の輪郭を美しく、かつリアルに表現したものです。

劇中の温かい描写は、主題歌である福山雅治の『拍手喝采』とともに、不登校の当事者たちを勇気づけています。福山雅治本人も「このドラマ世界の子どもたち、大人たち、そしてタツキ先生、それぞれの人生の発見と向き合いかたに『拍手喝采』したくてこの歌が生まれてきました」とSNSで伝えています。

ドラマの温かいメッセージに対し、インターネット上で投げかけられる「きれいごとだ」「甘やかすな」という辛口コメントは、自らが「苦しくても我慢してシステムに適応してきた」という抑圧的な経験から生じる、当事者への羨望と嫉妬の裏返しにすぎないとは言い過ぎでしょうか。

約20校のフリースクール現場をルポしたおおた氏にドラマの感想を聞きました。

「これだけ不登校が増えていると言われていても、フリースクールがどんなところなのか、具体的にイメージできるひとはほとんどいません。ドラマを通じてフリースクールの実態が伝わる社会的意義は大きいと思います。

不登校の当事者が具体的なイメージをもって一歩を踏み出せるようになることはもちろん、そうでないひとたちも不登校やフリースクールに対する理解を深めてくれれば、社会全体がちょっぴり優しくなるんじゃないかと思います。

フリースクールの子どもたちは“かわいそうな子どもたち”じゃないんです。彼らはみんな、“本当に優しい子たち”なんです。

フリースクールに通ってあんなに優しくなれるなら、不登校じゃない子たちも、一定期間フリースクールに通うのを義務教育の一環にしたらいいんじゃないかと思うくらいです」


不登校を巡る議論において、非当事者ひいては社会全体が克服すべきなのは、子どもたちの行動ではなく、大人側の「無理解な常識」と「抑圧の再生産」と言えるかもしれません。

ドラマ『タツキ先生は甘すぎる!』が描く「甘さ」とは、決して現実からの逃避ではなく、子どもたちの生命そのものを守り、主体的な回復を信じて待つという、もっとも強靱で温かい「教育の本質」ではないでしょうか。

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\親の不安を安心に変える、新しい居場所の探し方/

フリースクールという選択

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おおたとしまさ

おおたとしまさ

教育ジャーナリスト

1973年、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、教育をテーマにさまざまな取材・執筆を続けている。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。 主な著書に『勇者たちの中学受験』、『子育ての「選択」大全』、『不登校でも学べる』、『ルポ名門校―「進学校」との違いは何か?』、『なぜ中学受験するのか?』など80冊以上。

1973年、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、教育をテーマにさまざまな取材・執筆を続けている。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。 主な著書に『勇者たちの中学受験』、『子育ての「選択」大全』、『不登校でも学べる』、『ルポ名門校―「進学校」との違いは何か?』、『なぜ中学受験するのか?』など80冊以上。