不登校24万人! 広島県教育委員会「校内フリースクール」の最適な学びとは?

子どもの居場所 ルポルタージュ #4~前編~ 広島県の校内フリースクール

ジャーナリスト:なかの かおり

思い思いの過ごし方

SSRの専任教員は、もともと学校にいる先生だったり、他校から来た先生だったり、いろいろです。

県の不登校支援センターの指導主事は、指定校へ定期的に訪問し、担任と1日一緒に行動して、サポートしています。

「学習に関しては、子どもたちは通常学級の時間割りではなく、それぞれの時間割りで過ごします。音楽や体育は、自分のクラスの教室に行って参加することもできます。もちろんSSRで自習してもOK。コミニュケーションスキルを培う卓球やカードゲームをする子もいます。教科によっては、専任の教員以外の応援も入ります」(蓮浦さん)

広島県教育委員会事務局学びの変革推進部 個別最適な学び担当・不登校支援センター長の蓮浦さん。1993年4月に広島県公立学校教諭として採用され、県内小学校に13年間勤務。広島県教育委員会事務局指導主事などを経験し、2021年度から現職に。 写真提供:広島県教育委員会

変わる不登校等の支援

コロナ禍が始まった2020年、休校でほっとしている子もいると、不登校の子を抱えるお母さんから聞きました。「いじめがあるわけでもなく、先生や友達との関係もいい。だけど学校には行けない」。繊細な悩みです。近年は、民間のフリースクールも増え、その家庭でもフリースクールを利用したいと話していました。

文部科学省が発表した小中学生の不登校は、過去最多の24万4940人(2021年度)。休校をきっかけに生活リズムが乱れたり、帰属意識が持てず学校に行けなくなったり。感染予防のため、登校させない家庭もあり、不登校も多様化しています。

そのような中で知った、広島県の校内フリースクールの試みの新しい視点に驚きました。

「集団や全体に、合わせなければならない」。こうした価値観で育ってきた世代は、多いのではないでしょうか。けれど、広島の現場では、個々の事情に合わせた環境や、プログラムを作る方向に歩んでいます。

後編では、コロナ禍に改めて注目されたオンラインによる活動について紹介します。

取材・文/なかのかおり

後編 オンライン修学旅行も実現! 「校内フリースクール」が広げる可能性とは

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なかの かおり

ジャーナリスト

早稲田大参加のデザイン研究所招聘研究員。新聞社に20年あまり勤め、独立。現在は主に「コロナ禍の子どもの暮らし」、「3.11後の福島」、「障害者の就労」について取材・研究。39歳で出産、1児の母。 主な著書に、障害者のダンス活動と芸能界の交差を描いたノンフィクション『ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦』、『家庭訪問子育て支援ボランティア・ホームスタートの10年「いっしょにいるよ。」』など。最新書『ルポ 子どもの居場所と学びの変化: 「コロナ休校ショック2020」で見えた私たちに必要なこと』が2022年10月22日発売。 講談社FRaU(フラウ)、Yahoo!ニュース個人、ハフポストなどに寄稿。 Twitter @kaoritanuki

早稲田大参加のデザイン研究所招聘研究員。新聞社に20年あまり勤め、独立。現在は主に「コロナ禍の子どもの暮らし」、「3.11後の福島」、「障害者の就労」について取材・研究。39歳で出産、1児の母。 主な著書に、障害者のダンス活動と芸能界の交差を描いたノンフィクション『ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦』、『家庭訪問子育て支援ボランティア・ホームスタートの10年「いっしょにいるよ。」』など。最新書『ルポ 子どもの居場所と学びの変化: 「コロナ休校ショック2020」で見えた私たちに必要なこと』が2022年10月22日発売。 講談社FRaU(フラウ)、Yahoo!ニュース個人、ハフポストなどに寄稿。 Twitter @kaoritanuki