
『川滝少年のスケッチブック』
著:小手鞠るい 絵:川瀧喜正
【作品紹介】
X(旧Twitter)で話題を呼んだ児童文学作家・小手鞠るいさんの父が描く漫画絵日記をもとに生まれた、祖父と孫の物語。太平洋戦争を懸命に生きた「普通の人々」の日常を、小手鞠さんの父である川滝少年が素直でユーモラスなタッチで描いた漫画絵日記が60ページ掲載されています。
本作の誕生のきっかけは、著者・小手鞠るいさんのもとに届いた1つの小包。中には、小手鞠さんのお父様が描いた数冊のスケッチブックが入っていました。その中の二冊に描かれた日々の記録が、この作品の基盤となっています。父の絵を見た小手鞠さんは、「今だからこそ伝えたい」とこの物語を紡ぎ出しました。
戦争を知らない世代にも伝わる、ユーモラスで温かなタッチが心を揺さぶる本作。戦前・戦中・戦後、昭和初期の暮らしや空気感を描いた本作は、貴重な歴史資料としても価値のある一冊です。
また、『白旗の少女』も太平洋戦争末期の沖縄本島南部で7歳の少女が戦時下をひとりで生き抜いた奇跡をたどった愛と感動のノンフィクション作品。
戦時下を過ごした「普通の人」に焦点を集めた作品が、今、注目を集めています。
『100年見つめてきました』
作:吉野万理子 絵:川上和生
【作品紹介】
奈良県生駒市の生駒山上遊園地の遊具「飛行塔」が話す歴史ファンタジー! 標高642メートルの生駒山から見続けた飛行塔をテーマに、昭和4年から戦時中、そして令和までの月日を描いた歴史童話です。
飛行塔は、子どもたちを空の世界へと誘う楽しい遊具として、昭和4年に生まれました。ですが、戦争中は、飛行機部分をもぎとられ「金属回収」されてしまいます。明石空襲、大阪空襲を目の前で見て「戦争とは何か」を考え、その後、高度経済成長期の変わる日本を見届けた飛行塔は、令和の子どもたちにあたたかい声をかけます。
長い年月の間、高い山のてっぺんから、いろんなものを見てきた、現存する最古の遊具である飛行塔。平和の大切さを稼働する最古の大型遊具というユニークな手法で伝えた童話です。
大人が読んでも胸を打たれる! 幼少期から読める「平和と戦争」の絵本
『キンコンカンせんそう』
作:ジャンニ・ロダーリ 絵:ペフ 訳:アーサー・ビナード
【作品紹介】
『キーウの月』で知られるイタリア児童文学の巨星ジャンニ・ロダーリが贈る反戦をテーマにした絵本です。戦争によってうまれる人間の愚かな行為を、ユーモアをもって描いています。読み進めていくとタイトルの意味に思わず「なるほど!」と声を上げたくなる一冊です。
小学校低学年から読めるため、幼少期に戦争を知るきっかけにぴったりの作品です。
『秋』
著:かこさとし
【作品紹介】
「だるまちゃん」シリーズなどで親しまれた絵本作家かこさとしさんが高校生のときに体験した実話をもとに描いた絵本。かこさんが一番好きな季節だった秋。「ところが、そのすてきな秋をとてもきらいになったときがありました。」と続く本作は、かこさんの体験をもとに戦争に対する強い憤りがつづられています。
本作は、新型コロナウイルスでステイホームの期間中、作品整理をしていた加古総合研究所の鈴木万里さんが見つけた未発表作を絵本にしたものです。最初の原稿執筆が1953年、なんと構想から実に68年、半世紀以上を経て初めて世に出ました。
戦争の悲惨さと反戦への気持ちを強く感じる、平和を願うかこさんの強く熱い思いが伝わる作品です。