「親が必死に生きる姿が教育」作家・斉藤洋が語る、子どもに一生ついてまわる親子の関係性

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──今を生きる子どもたち、そして親世代にもアドバイスをいただけますか。

置かれた環境で、「なんとかうまく生きていこう」と思ってほしい

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──10歳前後の、まさにこれから大人になっていく読者の子どもたちには、どう生きていってほしいですか。

斉藤:環境って、子どもには絶対に選べないもの。世界を見渡せば、水道の水を汲みに行くだけで半日が終わってしまう国の子どもだっている。

だけど、「あいつよりマシだ」なんて比較はどうでもいい。

きみは、きみが置かれたその変えられない環境(条件)の中で、なんとかうまく生きていくしかない。それがきみのかけがえのない人生なんだから。「なんとしてもうまくやっていこう」と思ってほしいわけ。

それでそうと心を決めたときには、自分の今の行動が本当に「これで合っているか」を考えてほしい。

ゲームをやるなら世界を相手にするくらい本気でやるか、15分でやめるか。そして、自分が将来どんな大人になりたいか、なるべく具体的な目標を持ってほしい。

目標がないと、人間はどうしたって楽なほうに流されてしまうからね。

親との関係はその子の人生に一生ついてまわる

──いま、子育て真っ最中の親御さんにもメッセージをいただけますか。

斉藤:
休日に通りかかる模擬試験会場のそばで、子どもを迎えに来ている親たちを見かけることがあるんだけど、「子どもの教育に熱心でいいな」と思う一方、「それもだいじだけど、親自身もまたがんばれ」とも思うわけ。

子どもを応援することに自分を投影するんじゃなくて、親自身が必死に生きる姿を見せることこそが、子どもへの教育じゃないか、ってね。

それからときどき、息子に対しては「〇〇ちゃん、座って」と靴紐を結んであげるのに、娘に対しては「あんた何やってんの!」と厳しく当たるような母親の姿を見かけることがあるのよ。

いろいろな家庭があるし、僕が見たのはたまたまかもしれないけれど、親と子どもの関係性というのは、その子の人生に一生ついてまわる「歪み」を生むこともある。

無意識に、ということも多いだろうからこそ、たまには自分と子どもの関係をよく観察して、「これでいいのかな」を考えていただけたらと思います。

イッパイアッテナの本当の少年期

▲相棒・イッパイアッテナのぬいぐるみと共に、笑顔を見せる斉藤洋さん。この夏、ついに「真実の物語」が明かされます。

──最後に、ルドルフシリーズの最新刊、イッパイアッテナを主人公にした新作についてお聞かせください。

斉藤:
第1作『ルドルフとイッパイアッテナ』で、イッパイアッテナは「赤ん坊のときに人間に拾われた」という話をするけれど、あれは絶対に彼のウソなんだよね。少年期をノラという厳しい環境で育ったから、あんなに教養のある堂々とした猫になったわけでしょ。

じゃあ、なぜ彼はウソをついたのか。それは、突然ノラになって絶望しているルドルフの立場を慮って、「オレだって苦労したんだから、おまえも頑張れ」なんていう無粋な苦労話を言いたくなかったから。でも実際は、イッパイアッテナの少年期のほうが結構大変だったと思うよ。

だって彼には、ルドルフにとってのイッパイアッテナのような「導き手(ガーディアン)」がいなかったから。全部一人で生き抜いてこなければならなかったのは大変だよ。それでも「俺の少年期なんてこんなもんだよ、あはは」と、わざと軽く話した。イッパイアッテナはそんな猫なんです。

今度の本は、イッパイアッテナが自伝を書いていることになっているけれど、イッパイアッテナが自伝なんて書くと思う? イッパイアッテナ本人が書いたら、教養があるから一人称は「私」って書くはずだよね。

だからこれは、実はルドルフが書いているんだよ。わざと「俺」と書くことで、ルドルフが彼らしさを演出している、そういう企みなんだよね。

そういう深いところまで読んでほしい。せっかく書いたんだからね(笑)。

取材・文/小川聖子
撮影/安田光優

「ルドルフ」シリーズ40周年 待望の外伝

おれのなまえはイッパイアッテナ ルドルフとイッパイアッテナ外伝

おれのなまえはイッパイアッテナ ルドルフとイッパイアッテナ外伝

斉藤 洋(作)  杉浦 範茂(絵)

発売日:2026/07/01

価格:定価:本体1500円(税別)

それはともかく、こうして今、おれが書きはじめたのは、ルドルフに会って、おれが、
「おれか。おれの名まえは、いっぱいあってな」
というまで、おれにどんなことがあったかということだ。
 いってみれば、ルドルフと会うまで、おれが何をしてきたかという、おれの自伝がこの本だ。
 おれは、ねことしちゃあ、からだはずいぶん大きくて、はい色がかった茶色に、黒っぽいしまのあるトラねこだ……、ということで、おれの話をはじめよう。──本文より

※小学2年生以上の漢字にルビ付き

斉藤洋 作家デビュー40周年 プレゼントキャンペーン

「ルドルフ」シリーズ、「おばけずかん」シリーズを買って、豪華賞品を当てよう!(抽選・合計40名様)応募券2枚1口で応募してね。

◾賞品
・作家・斉藤洋のサイン入り
『おれのなまえはイッパイアッテナ』 5名

・作家・斉藤洋のサイン入り
『なつのおばけずかん おばけはなびたいかい』 5名

・オリジナル図書カード(10,000円分) 30名

◾️応募のきまり
「ルドルフ」シリーズ、「おばけずかん」シリーズの本のフェア帯についている「斉藤洋40周年プレゼント応募券」を切り取り、郵便はがきに2枚はって、本の感想、ほしい賞品ひとつ(「おれのなまえはイッパイアッテナ」サイン本、「なつのおばけずかん」サイン本、オリジナル図書カードのいずれかひとつ)、郵便番号、住所、氏名、年齢、学年、電話番号を書いて、下記のあてさきにお送りください。

〒112-8001 東京都文京区音羽2-12-21
講談社 児童図書編集チーム
斉藤洋40周年プレゼント係

●応募券2枚で1口の応募になります。●封筒での応募はできません。●賞品の送り先は日本国内に限らせていただきます。●応募者多数の場合は抽選で合計40名にさしあげます。●当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。●応募された方の個人情報は、本企画遂行以外の目的には利用しません。

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斉藤 洋
さいとう ひろし

斉藤 洋

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東京都生まれ。幼年童話に「ペンギン」シリーズ、「おばけずかん」シリーズ、児童文学に「ルドルフとイッパイアッテナ」シリーズなど多数。

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小川 聖子
おがわ せいこ

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Seiko Ogawa
ライター

東京都出身。アパレル系企業に勤務したのちライターに。雑誌やWeb系メディアにてファッション関連記事や人物インタビュー、読み物記事の構成や執筆を行う。長男はついに成人、次男は中学生に。1日の終わりに飲むハイボールが毎日の楽しみ。

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