保健室の先生直伝! 子どもが自ら話し始める「子どもの心をきく」3つのテクニック

我が子との心の距離が縮まる! 保健室の先生に学ぶコミュニケーション術#3

「きく」の第3段階目は知りたい情報を尋ねること

「きく」のプロセス3では、子どもの話を掘り下げ、事実を明確にしていきます。

プロセス3)自分の知りたいことを相手に尋ねる「訊く」

知りたい情報を相手から引き出すことを「訊く」といいます。尋問や問い詰めることも訊くの一種ですが、この方法は避けなければなりません。いくら子どもの心のうちをもっと知りたくても、問いただす方法は間違いです。

この段階では子どもの話を掘り下げることに主軸をおきましょう。そのためには次のようなテクニックがあります。

■反復する
子どもが低学年であって、言葉がうまく出てこないときの手法です。「◯◯でつらかった」と子どもがいったら、「そうかぁ、つらかったんだね」とオウム返しをしてあげます。繰り返してあげることで、子どもは自分の発言と気持ちを確認でき、さらに話を続けていくでしょう。

■物事を明確化する質問をしてみる
事実関係や子どもの経験を把握したいときのテクニックです。「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」といった5W1Hなどを使って、少しずつ距離を縮めます。

ここで注意したいことは「なぜ?」ばかりを使わないこと。事実を知ることで相手を知ることにつなげていきます。

子どもが高学年なら「◯◯を知りたいのだけれど……」と、親がききたい目的を明確にしてもいいでしょう。より具体的な会話ができるはずです。

事実関係を把握するスタンスが大切です。 写真:アフロ

「子どもの心をきく」ときに最も大切なこととは?

「きく」にもさまざまなテクニックやポイントがありますが、渡邊先生は最も重要なことを次のように話します。

「子どもは、心と言葉と意識が一致しています。また、子どもは親の言葉だけでなく、表情や態度、しぐさからも情報を得ます。つまり、子どもと向き合うときは、大人も子どもと同じように心と言葉と意識を一致させて、相手に集中する必要があります。

子どもの話に意識を向けることや、子どもの目線に立って『◯◯ちゃんは、こう思ったんだね』と声をかけることも、心と言葉と意識を一致させる表現の延長線上にあることです」(渡邊先生)

子どもは心と言葉と意識が一致しているからこそ、心にもないことをいうのは稀だと先生は話します。相手が子どもであろうと向き合うときのスタンスは対等ですから、親も同じような立ち位置からきいていくことが大切です。

「みる」「きく」を使って子どもとの距離を縮める具体的なシーンを紹介

ここまで「みる」「きく」の意味を細かく解説してきましたが、実際に使う際は要所要所でこれらを掛け合わせて使っていきます。ここからは具体的な利用シーンを紹介します。

■いじめられていないかを知りたいとき

(1)「見る(全体を把握する)」×「観る(子どもの変化を確認する)」で違和感に気づく
子どもからのサイン例:愚痴をこぼす、友達の悪口を口にする、グズグズしている など

(2)「聞く(情報が耳に入る)」から「聴く(傾聴する)」に意識を変える
子「はぁ……、学校行きたくないなー」
親「ふ~ん、そうなのか。でも、行きたくない日もあるよねぇ」
子「そうなんだよ。学校なんか、行く意味ないよ!」
親「わかる、わかる。ママも同じこと思ったことあったよ」

(3)「診る(深刻になりすぎないように質問する)」×「訊く(知りたいことを尋ねる)」で切り出して、会話を深めていく
親「どうしたの? 友達になんか嫌なこといわれたのかな?」
子「(目を逸らして)……」
親「つらいことってあるよね。一緒にどうしていけばいいか考えてみようか」

ここで重要なことは(3)の「診る」×「訊く」の段階で子どもが無言になったときに、「誰に何を言われたの?」「嫌な子とは縁を切りなさい!」などと、大人の価値観を押し付けないことです。

子どもと友達との間で何かあった場合でも、まずは事実のみを把握するようにして、子どもが自分の気持ちを吐き出すことを優先させましょう。誰とケンカをしたとか、意地悪をされたなどを言い出しても冷静に受け入れてあげてください。

最終的には「どうするか一緒に考えよう」と親が受容したことを表し、子どもが解決に近づいたと思えるように導いてあげましょう。

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