赤ちゃんのギャン泣き〜イヤイヤ期 “怒るより共感”が上手くいく理由

保育・子育てカウンセラー井桁容子さん「ノンストレス育児のススメ」#1〜親のアンガーマネージメント編〜

保育・子育てカウンセラー井:井桁 容子

泣いてばかりいる子どもにイライラしてしまう親へのアドバイスを、子育てカウンセラーの井桁容子さんに伺いました。  
写真:アフロ

子育てにつきものといえるイライラ感情。赤ちゃんの泣き続ける様子にイライラ、幼児のままならない行動にイライラ……。そしてつい、子どもに感情的な怒りをぶつけてしまい、そんな自分に自己嫌悪。こんな経験、親なら誰しもあるものではないでしょうか。

保育・子育てカウンセラーの井桁容子さんは、育児本を多数執筆し、『いないいないばあ』(NHK Eテレ)の監修や『ホンマでっかTV』(フジテレビ)にコメンテーターとして出演するなど、幅広く活躍するいわば子育てのプロ。

そんな井桁さんに、親がストレスを抱えない育児法を伺います。1回目は、親のアンガーマネジメントについて。(全4回のうちの第1回)

泣くばかりの赤ちゃんは観察し気分転換を

赤ちゃんは、“泣く”ことで自己表現します。しかし、「なぜ泣いているのか?」その理由がわからないだけに、ついイライラ。また、突然、烈火のごとく、泣き出した子どもに戸惑い、焦ってしまう親もいることでしょう。

親ならば誰もが直面するこのイライラとどう向き合うのがいいのか、井桁さんに話を伺いました。

「赤ちゃんが泣いているときに、『なぜ泣いているのか?』を考える親が多いと思います。でも、『もし泣かなかったらどうなるのか?』を考えてみるとどうでしょう。

そもそも、人間の赤ちゃんは他の動物に比べて、よく泣きます。動物は、人間の赤ちゃんのように鳴いていたら、他の動物に襲われやすくなって危険です。でも、人間の赤ちゃんは相手の関心を引き寄せ、関わりを持ってもらうことが大切なのでよく泣きます。大人が悲しくて泣くのとは違うのです。

赤ちゃんが泣き出したら、まずは『何か伝えたいことがあるのね』と言葉のように捉えて理解した方が気持ちは楽になると思います。

泣いている理由を探るのは、その次です。背中に触れて汗ばんでいれば、それを不快に感じて泣いているのかもしれませんし、“眠い”という状態をまだ認識できない赤ちゃんのなかには、その状態を不快に感じて泣き出す子もいます。

そういった、考えうる生理的不快を1つずつチェックし、消去法で見極めていく。原因によって泣き方が異なるので、何度も経験をするうちに、『この泣き方は、ミルクがほしいのね』とわかるようになってくると思います」(井桁さん)

井桁さんによると、赤ちゃんは生理的不快を取り除いてくれた人を「この人は自分を守ってくれる」と信用するそうです。もし、生理的不快が原因ではなさそうなら、次に考えられるのは気持ちの問題です。退屈を感じて泣いているかもしれないため、テラスへ出て風にあたったり、歌って聞かせてあげたり、気分転換をしてあげることが良いようです。

「『何かイヤなことがあるのね、あれかな? これかな?』と声を掛けてあげると、赤ちゃんは動物的な直感で『自分をわかろうとしれくれている』と感じます」と、井桁さんは言います。

泣いている赤ちゃんに接するときは、「“困ったことがある”と教えてくれたのね」と一旦受け入れてから、原因を探るようにしましょう。

「赤ちゃんには生まれながらの気質があるので、あまり泣かないのんびりした子もいれば、一度気にいらないことがあると沸点まで達してしまう子もいます。

気質は遺伝も関係しますし、身内と似ていると考えることで、泣いている姿が愛おしく見えてくるかもしれませんよ。

『なぜ、この子はすぐに泣くのだろう?』といった正解のわからないことに思い悩むよりも、『この子は繊細なのね』と気質として受け止めることは、親のストレス軽減にもつながるはずです。

ちなみに、気持ちの問題が原因の場合、泣き続けることで発散し、自然と収まることもあります。しかし、ご近所への迷惑を気にしなければならない住宅事情は、辛いですね。そのような時は、一人で困ったことを抱え込まずに、誰かに相談して助けてもらいましょう」(井桁さん)

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