誰もが胸を張って生きていける社会へ 自閉症の息子のニーズを追い求めた先に見えてきたもの
GAKUが自閉症アーティストになるまで #3 アイムの放課後等デイサービス「エジソン高津」
2023.11.24
療育に正解はない 子どもの専門家は親
それでも、子どもの発達に悩む保護者は、ついつい療育の専門家や権威に頼ってしまいがち。
でも、典雅さんは「療育の正解なんて、誰も持っていない。だから、子どもの専門家は当事者であるその子の親だと僕は思っています」といいます。がっちゃんを育てた典雅さんの言葉は、強く響きます。
典雅さん:現在、アイムの生徒は全施設で300世帯ほど。これまでに約500世帯の子どもたちを見てきました。それでわかったことは、特別な療育は必要ないということ。がっちゃんもここのみんなも、毎日、こんなにハッピーに過ごせているんですから。
それと、よく「自分の子の才能にどうやって気づくのか」「がっちゃんのようなアーティストになるには何をさせたらいいの」といった相談をされますが、そんなのは知らない(笑)。がっちゃんだって、いつか絵を描くことに飽きてしまうかもしれない。それは常に思っています。だから、子どもに過度な期待はしないことが一番なんですよ。
また、典雅さんは子育ての世界にこうあるべき論はないとしながらも、「親として大事なのは、折れない心をどう育てるのか」ということだと話します。
典雅さん:人間、心が折れてしまったら終わり。受験に受かったり、良い企業に就職したりしても、心が折れたらアウトなんです。他人に否定されても関係ない、どれだけ強い感性を育めるのか。それって、そもそも親が心配性だと難しいんです。だから、アイムの親御さんたちには、「まずは親である自分自身を変えることから始めましょう」って伝えるようにしています。