うちの子は「スマホ認知症」予備軍? 日本初「スマホ認知症外来」の医師が対処法や予防法を伝授

「スマホ認知症」の怖さと予防法 脳神経内科医が解説 #2 (2/3) 1ページ目に戻る

脳神経内科医、金町駅前脳神経内科院長:内野 勝行

起きている間はずっとスマホ! 利用時間1日13時間という子どもも

「僕のもとには、子どもがスマホやゲームばかりをやっているとか、居眠りが多いとか、勉強についていけないとか、風邪を引きやすくなったとか……、いろいろな心配を抱えた親御さんがお子さんを連れてやってきます。

そういった子どものうち、スマホ認知症の傾向が強い子は、診察中も片手にずっとスマホを握っている状態ですし、加えて感情が乏しく、反応も薄いと感じます。

1日のスマホ利用時間を調べてみると、1日13時間など、長時間の利用も見受けられます」(内野先生)

前述のケースはスマホが離せない男の子の例ですが、女の子も例外ではありません。女の子の場合、利用は友だち関係に左右されることが多く、SNS上でのやりとりが依存の原因ということも少なくありません

いずれにしても、生活がスマホに左右されているので、スマホを手放すことが基本の対処法です。

何から始める? スマホ断ちまでどのくらいかかる? スマホの手放し方

スマホ認知症を防ぐためには、情報を整理する時間を脳に与えるために、ある一定時間、スマホから離れることが基本です。とはいえ、スマホへの依存度が高い場合は、生活の些細なところから少しずつ手放していく訓練が必要です。

「たとえば、トイレに行くときはスマホを持っていかないとか、食事中はスマホを触らないとか、そういった小さなところから離れる訓練をし、手放す機会を増やしていきます

あるいは、スマホの画面を白黒(グレースケール)に設定するのもひとつの手です。色彩豊かな動画などを切れ間なく見続けると、快感を生み出すドーパミンが分泌されてさらに見たくなってしまいます。

ですが、画面を白黒にするとドーパミンが出にくくなって、スマホが味気なくなります」(内野先生)

子どもがスマホを手放す訓練をするときは、親のスマホ利用も見直すことが大切です。子どもと同じように、親御さんもスマホと一定の距離を保ち、子どもと会話をする時間を持ったり、読書をしたり、スマホ以外のことをするべきです。

「訓練を始めたからといって、1日や2日でスマホと距離がとれるわけではありません。スマホへの依存度にもよりますが、手放せるようになるまでには最低半年はかかると思って、根気強く生活を変えていってください」(内野先生)

子どもがスマホに戻らないために大事なこと

手放す訓練を始めても、それだけでは子どもはスマホに逆戻りしてしまいます。それを防ぐには、子どもにはほかに没頭できることが必要です。

「スマホを触らない時間が多くなり、暇ができると手持ち無沙汰になります。そうすると子どもは、スマホが恋しくなってしまいます。

生活を逆戻りさせないためにも、絵を描いたり、ジグソーパズルをしたり、楽器やスポーツ、読書をするなど、どんなことでもいいので、子どもが興味を持てることを親子で一緒に探してみてください」(内野先生)

勉強や仕事でデジタルデバイスを使用 「スマホ認知症」にならないの?

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