パパ小児科医・ゆび先生 8児を育てて気づいた「ほしい物は与える」「𠮟らない子育てはしない」理由とは?
8児のパパ小児科医・ゆび先生インタビュー#3~子育ての方針~
2024.11.26
小児科専門医・インフルエンサー:ゆび先生
ゆび先生:4人目が生まれてから、お盆や正月、誕生日への考え方も変わりました。「○○の日はこうするべき」という考えをやめたんです。
例えば子どもの誕生日といえばプレゼントだったのですが、「誕生日だからプレゼントを買ってお祝いしてあげるべき」と決めてしまうと、ほかの日が輝かなくなってしまう。毎日が誕生日のような特別な日だと思って暮らすほうが楽しいなって思うんです。だからほしい物はいつでも買ってあげるようにしています。
──「いつでも買ってあげる」という子育て方針には、どんな意図があるのですか。
ゆび先生:実はいろいろな意図があります。まず「誕生日だからプレゼントを買ってあげる」というルールにすると、誕生日だけ特別で、ほかの日は“がまんの日”になってしまいます。ほかにも「勉強をがんばったら買ってあげる」とご褒美にするのも、“ほしい物のために勉強する”となるので、勉強が嫌なものになってしまうんです。
それだったら、何かを買ってあげることと、何かをがんばることは別にして考えたほうがいい。だから僕は、子どもが何かほしいと言ったらさっさと買ってあげます。ずっと「ほしい」と思っている時間は無駄だと思っているので。
──子どもの要求にその都度応えていると、家じゅうが物であふれてしまいませんか。
ゆび先生:それがおもしろいもので、ほしい物をぱっぱと買ってあげると、子どもって次から次へと「ほしい」って言わなくなるんです。これ、めちゃくちゃコスパがいいですよ(笑)。
あれもほしい、これもほしいにはならないです。例えば子どもがあるゲームソフトをほしいと言ったら、子どもと一緒に買いに行って、「流行っているゲーム、これも、あれも、これも買ってあげるわ」って3~4つまとめて買うんです。
でもいっぺんにゲームはできません。結局、全部中途半端になってしまって、次に「ゲームいるか?」と聞くと「俺、もういいわ」と言うんです。ラーメンが好きな子に毎日3食ラーメンを与え続けていたら、いらなくなりますよね。それに近いと思います。
──たくさん買い与えるとワガママになってしまうのでは、と親は心配してしまいますが、そうでもないのでしょうか。
ゆび先生:逆だと思いますね。「まだ開けてないのがあるしな」「まだ遊び終わってないしな」と自分で考えて、「もういらない」って自分から言います。
そうすると物に対する執着がなくなってくるので、お金で買えないモノに対して一生懸命になるようになるんです。うちの子たちはスイミングをやっていますが、速く泳ぐ能力はどれだけお金を積んでも絶対に買うことはできません。練習するしかない。
そうすると、物より練習のほうが大事になってきます。そうやって達成して自分でゲットできたものに価値を置くようになるんです。
勉強もそうです。何か買ってもらうために勉強するなんてことは、うちでは全くありません。物でないところに目標を持つと、勝手に勉強するようになるんです。
例えば「お医者さんになりたい」と思えば、勉強が“やりたいこと”になるんです。長女(16)の高校受験がありましたが、数学だけ塾へ行って、あとは独学で勉強していました。
長女同様に医師を目指している長男(13)や次女(11)も、テレビがついているにぎやかなリビングでいつも勉強をしています。周りで誰が騒いでいても、自分の勉強に集中することが癖になっているんです。
医師を目指す夢も僕が強く言ったわけではなく、子どもたちが考えて決めたこと。本人のやる気が大切だと思っています。