パパ小児科医・ゆび先生 8児を育てて気づいた「ほしい物は与える」「𠮟らない子育てはしない」理由とは?

8児のパパ小児科医・ゆび先生インタビュー#3~子育ての方針~

小児科専門医・インフルエンサー:ゆび先生

親のイライラはガマンはしない

──8人を育てるうえで、𠮟り方など気をつけていることがあれば教えてください。

ゆび先生:𠮟るうえでルールはありませんが、頭ごなしに𠮟るのではなくて、僕がいやだと思うことはその場で僕の気持ちを伝えるようにしています。例えば5歳児が下のきょうだいに意地悪したとき、「それ、パパはすごく嫌だからやめて。パパはそういう意地悪は好きじゃないな」と言います。

イライラしたときも、僕が今イライラしているんだということを伝えます。子どもって、やたら甲高い声でキャーキャー大騒ぎするときってあるじゃないですか。耐えがたいときは、「その“キャー”は、パパ超嫌いだからやめてね」と言いますね。一般論で伝えるのではなくて、僕がどう思っているかを、わかりやすくストレートに伝えます。

わが家では親がイラついたり怒ったりしたときに、ガマンは絶対にしないです。心で思っていることと言っていることが一致していないと、気持ち悪いですから。心と表情を一致させることで、「顔がニコニコしている=心もニコニコしている」って子どもは受け取ってくれます。このほうが超わかりやすいですよね。

僕がすごく怒ったあと、気持ちを切り替えてニコニコしていたら「パパはもう怒ってない」「引きずってないんだな」と理解してくれます。

嫌われたくなくて甘いパパだった時期も

──新米パパのころからこういう教育方針だったのでしょうか。

ゆび先生:今でこそこんな教育方針ですが、子どもがまだ3人くらいのころは、今よりずっと甘かったですね(笑)。自分が子どもに嫌われたくなかったですから。いい格好しちゃっていました。特に小児科なのでいろんな文献を読んでいて、「𠮟らない教育がいい」という考え方もよく理解していましたし、それを実践しようとしていた時期もありました。

でも実際に何人も子育てしていていると、イライラして心では怒っているのに、顔だけニコニコするほうが子どもにはよくないと考えるようになりました。実際にそういう論文も出ています。

子どものためになることは、その場で𠮟ったり修正したりしてあげたほうがいい。もし心と表情が一致しない子育てをしていたら、「顔はニコニコしているけど、本当は心で怒ってるんでしょ」「本当はどう思っているの?」と大人の顔色をうかがう子になってしまうと思うんです。

子どもが増えていくにつれて、自分をさらけ出して、飾らない、噓も言わない、思ったこともそのまま言うパパになりました。だから子どもたちも素直に感情を出してくれますね。

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8人の子育てでたどり着いたゆび先生の子育ては、独自のスタイルに昇華し、子どもたちとの絆を育んできました。
次回は小児科医のゆび先生率いる大家族の感染予防策などについて伺います。


取材・文/大楽眞衣子
※記事内の年齢は2024年11月21日時点のものです

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ゆびせんせい

ゆび先生

小児科専門医・YouTuber・TickToker

田本 直弘(たもと・なおひろ) 。鳥取県米子市生まれ。2012年「医療法人田本会 米子こどもクリニック」開院。加えて内科や美容クリニック、訪問看護ステーション、保育園、介護事業、エステティックサロン運営にも携わり、全国を飛び回る。 YouTubeチャンネル「ゆび先生&ひかちゃんねる」は登録者数7万7000人、TikTokのフォロワーは17万人超え(2024年11月現在)。 8児のパパ。長女(2008年生まれ)、長男(2011年生まれ)、次女(2013年生まれ)、三女(2017年生まれ)、四女(2019年生まれ)、次男(2021年生まれ)、三男(2022年生まれ)、四男(2024年生まれ)。 ●米子こどもクリニック

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田本 直弘(たもと・なおひろ) 。鳥取県米子市生まれ。2012年「医療法人田本会 米子こどもクリニック」開院。加えて内科や美容クリニック、訪問看護ステーション、保育園、介護事業、エステティックサロン運営にも携わり、全国を飛び回る。 YouTubeチャンネル「ゆび先生&ひかちゃんねる」は登録者数7万7000人、TikTokのフォロワーは17万人超え(2024年11月現在)。 8児のパパ。長女(2008年生まれ)、長男(2011年生まれ)、次女(2013年生まれ)、三女(2017年生まれ)、四女(2019年生まれ)、次男(2021年生まれ)、三男(2022年生まれ)、四男(2024年生まれ)。 ●米子こどもクリニック

だいらく まいこ

大楽 眞衣子

社会派子育てライター

社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーに。3人の育児で培った生活者目線を活かし、現在は雑誌やWEBで子育てや女性の生き方に関わる社会派記事を執筆している。大学で児童学を専攻中で、保育士資格を取得。2歳差3兄弟の母。昆虫好き。イラストは三男による「ママ」 ●公式HP「my luck」

社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーに。3人の育児で培った生活者目線を活かし、現在は雑誌やWEBで子育てや女性の生き方に関わる社会派記事を執筆している。大学で児童学を専攻中で、保育士資格を取得。2歳差3兄弟の母。昆虫好き。イラストは三男による「ママ」 ●公式HP「my luck」