まわりの大人が心がけたいこと
相談事例④
「『せんせい』が『てんてい』になります。言い直しさせて、正しい発音を教えていましたが、そのうちあまり話をしなくなってしまいました。」
1.勉強的に教え込まない
「これは、ぼ・う・し だよ。言ってごらん」や「ぼ・う・ち じゃないよ。ぼ・う・し 言ってごらん」などと、勉強的に言葉を教えようとする方は少なくありません。
言葉(母国語)は、「大好きな人に、このことを伝えたい」という思いがスタートです。
そこから、子どもなりの表現(子どもなりの言葉や動作)で相手に繰り返し伝え、口腔機能の発達や大人からの模倣で言葉を覚え、少しずつ周囲にもわかる言葉で話せるようになります。
文法や発音を勉強的に学べば、話せるようになるのではありません。勉強的な言い直しを繰り返すと、話をしなくなる子もいるので、注意が必要です。
2.「伝えたい」気持ちが大切
言葉は、正常な聴力・口腔機能と知的発達を前提に、「伝えたい人がいて」「伝えたい事柄がある」ときに成長します。
話し言葉は、周囲に自分の思いを伝えるための道具です。
はじめは言葉数が少なかったり、発音が不明瞭だったりしますが、大人とやり取りし、子どもなりの言葉で話し続けることで成長します。
そのためには、自分の思いを伝えたい大好きな人の存在や、伝えたい楽しい生活があることが大切です。
専門家への相談のタイミング
幼児期の言葉の発達を相談できる場所は、保健センター、小学校に設置されていることばの教室、教育委員会が行う教育相談、保育園や幼稚園の巡回相談員、かかりつけの小児科、耳鼻科、児童精神科、などがあります。
地域や年齢によっても適切な場所は異なりますので、まずはお住いの地域の保健センターに確認してください。
1.親が心配に思ったとき
親が心配している気持ちは、子どもに伝わり、子育てにも影響します。
子どもの年齢や言葉の状況に関わらず、もし今心配なら、専門家に相談するべきです。一人で考えていても結論は出ません。
2.子どもが困っているとき
兄弟姉妹や親は、子どもの言葉に慣れているので、本人がなにを言いたいのかをわかってあげられることは多いです。
しかし、家族以外の大人や友だちとはうまく会話が続かず、本人が困る場合があります。本人が困っている状況があるなら、早めの相談を考えてみてはいかがでしょうか。
3.周囲からの指摘
家族は子どもの言葉に慣れているので、発音が不明瞭だったり、言い回しが不十分だったとしても、本人の伝えたい内容を理解してあげられることは多いです。しかし、家族以外の園の先生などは慣れていないため、家族よりも聞き取りづらさや会話の難しさに気付きやすいです。
そういった家族以外の方からの指摘があった場合には、専門家への相談を検討しても良いでしょう。
ちなみに、家族以外の方(園や学校の先生など)は、言葉の問題など発達に関することは遠慮して伝えづらい場合があります。
ですので、「園や学校の先生から、なにも言われていないので問題はない」とは言い切れないのです。