赤ちゃんが言葉を話すまで 「子どもの言葉と心」の劇的な変化と発達を専門家が解説
【子どもの言葉の発達】#1 赤ちゃんの中で起こっている言葉の発達について
2024.12.29
1歳ごろ まずは1語からスタート!
──「話す」より「理解」が先、というお話でしたが、どういうことでしょうか。
坂上先生:初語がでると、まずはその1語、例えば「マンマ」というひと言で、「お母さん」や「ご飯」、「犬」や「ねこ」まで表そうとするのが普通です。しかし、コミュニケーションをとるうちにやがて「モノには対応する名前がある!」と気づくときがくるんですね。「マンマ」=「ご飯」、「ワンワン」=「犬」、「にゃんにゃん」=「ねこ」、という感じに。
──なるほど! それが「理解」ということなんですね。
坂上先生:それが、だいたい1歳半~と言われています。名前とモノが頭の中で少しずつ結びついて、語彙が一気に増える時期です。名前を知りたくて、「あれは? これは?」と質問を頻繁にくり返し、こうしたやりとりが楽しいと、「もっと知りたい」という好奇心も強くなります。2歳を過ぎるころには約300語を理解するといわれています。
──「知りたい」と思う力が、「話す」ことを促すようになるんですね。改めて、子どもの「知りたい」欲を刺激するコミュニケーションが必要だと感じました。
坂上先生:そうですね。「知りたいことがたくさんある」「周囲の反応が楽しい」のが、このころの特徴です。大好きな人が発見の驚きや喜びを共有してくれることで、言葉を介するやりとりが子どもにとってより楽しいものになります。
坂上先生:1歳半~2歳ごろになると語彙が増え、「マンマ、食べる」など単語を組み合わせた二語文を話すようになります。3歳ごろには、「赤い、長ぐつ、はきたい」というように3語以上の言葉を使ったり、名詞や動詞の使い分け方も理解できるようになったりします。4歳ごろには話し言葉はほぼ完成し、大人とだいぶスムーズに会話できるようになります。
今回は、0~2歳ころの“言葉”について、おもに発語や言葉の理解の過程を中心に坂上裕子先生におうかがいしました。次回は、1歳~4歳ごろ、言葉のやり取りを楽しむようになるころの言葉の発達について、おうかがいします。
■今回ご紹介の書籍はこちら
『子どものこころの発達がよくわかる本』
発達はさまざまな事柄が関係しあい、枝葉のように広がって進んでいくものです。たくさんの枝葉を支える太い幹と根っこが育つには、長い時間が必要です。子どもも親も試行錯誤して、失敗と修復を繰り返しながら、育っていきます。
本書では、保護者や保育者向けに、就学前までの子どもの発達や対応の具体例をわかりやすく解説しています。
坂上 裕子
青山学院大学 教育人間科学部 心理学科教授。専門は「生涯発達心理学」と「臨床発達心理学」。主な研究テーマは、「乳・幼児期における自己ならびに自己理解の発達」「親子関係の変化と親としての発達」「子育て支援」「乳幼児期の発達や子育ての時代的変化」について。著書に『問いからはじめる 発達心理学〔改訂版〕: 生涯にわたる育ちの科学』(有斐閣)、『新 乳幼児発達心理学(第2版)子どもがわかる 好きになる』(福村出版・共著)など。
青山学院大学 教育人間科学部 心理学科教授。専門は「生涯発達心理学」と「臨床発達心理学」。主な研究テーマは、「乳・幼児期における自己ならびに自己理解の発達」「親子関係の変化と親としての発達」「子育て支援」「乳幼児期の発達や子育ての時代的変化」について。著書に『問いからはじめる 発達心理学〔改訂版〕: 生涯にわたる育ちの科学』(有斐閣)、『新 乳幼児発達心理学(第2版)子どもがわかる 好きになる』(福村出版・共著)など。