料理愛好家・平野レミの家に 料理未経験の嫁・和田明日香が嫁いできた日
平野レミさんと和田明日香さんの明るい嫁姑“食育”対談 #1
2021.10.19
何を聞いたらいいのかもわからないほど、料理がわからなかった
平野レミさん(以下レミさん):あーちゃん(和田明日香さん)を最初に見たのはね、息子と一緒に家にお酒を取りにうちに来ていた時かしらね。「でっかい女が来てるけど、誰この人?」って。その子が、この子になっちゃった。
和田明日香さん(以下明日香さん):私は、結婚するまで、彼のお母さんが平野レミさんだって知らなかったんです。結婚してから知って、夫の家にいっぱいお料理の著書があることを知り、わあ、大変なところに来てしまったと思って。
レミさん:料理しない人は、私のことなんて知らないわよ。
明日香さん:そう、私は本当に料理を全然しなかったので……。
レミさん:息子がさ、「お母さん、どっかいい料理教室ない? あーちゃん、全然料理ができなくて大変なんだよ」って。キャベツとレタスの違いもわからなくて、そりゃあもう、本当に大変よ。
それでね、「じゃあ、何も知らない子だから、私のところにガンガン電話がかかってくるだろう」と思ったら、一切かかってこないのよ。
かえって心配よ。心配でさあ、なんで電話かかってこないんだろう、って思ってたら。
明日香さん:実は、何を聞いたらいいかもわからなかったんです。もう、何から何までわからなかったから。
さすがに申し訳ないじゃないですか。料理のプロの著名な方に「お米の炊き方教えてください」とか、「いちょう切りってどうやってやるんですか」なんて。
聞けなかったので、聞かなかったんです。ある程度、自分でなんとかできるようになってからは、わからないことがあったら電話して聞くようになりました。
「ニンニクの芽って本当に取らなきゃならないんですか」とか、「キャベツは内側まで洗わなきゃならないんですか」とか。
レミさん:どれもやらなくていいわよ! だって、ニンニクの芽なんてさ、料理食べて「これニンニクの芽が入っている」なんて誰も気づかないじゃない?
あーちゃんは、すっごく伸びしろがあったの!
明日香さん:そんな調子で、たいてい何を聞いても「全部やらなくていい!」みたいな感じでしたけどね(笑)。
料理にもちょっと慣れて、程なくして子どもも産まれ、忙しくなりました。当時からよく一緒にご飯を食べていたので、作ってくれたものを「美味しい」って言うと、「わかった」って言って教えてくれるんです。
レミさんは優しいから、使う材料を全部ビニール袋なんかに入れて、作り方のメモも入れて、いま流行りの料理の手作りキットみたいにして渡してくれて。
「これを使って、この通りにやれば同じ味になるから」って。そんなことを経て、だんだん料理が上達しました。
レミさん:魚をさばいていたら、あーちゃんがキッチンに来た時あったよね。うちで、子ども達がギャーギャー騒いでいて、あーちゃんが相手をしていたのよね。
その間に、私が大きな魚さばいていたら、途中であーちゃんが来て言ったのよ。「あーあ、最初から見てればよかった」って。あの時、「あっ、この子やる気あるんだな」って思ったのよ。すごいな、って。
明日香さん:そう、やる気はあったし、やったら楽しかった。外で美味しいものを食べても、どうやって作ったかは聞けないけれど、レミさんになら聞けるし、教えてもらえる。ますます楽しくなりました。
レミさん:あーちゃん、すっごく伸びしろがあったわよ。今では、テーブルが見えないくらい料理を何皿も作っちゃうんだから! ホント、すごいよ。