料理愛好家・平野レミの家に 料理未経験の嫁・和田明日香が嫁いできた日
平野レミさんと和田明日香さんの明るい嫁姑“食育”対談 #1
2021.10.19
お菓子かと思って持たせたら、香典返しのシーツだった!
明日香さん:レミさんは、こうやっていつも褒めてくれるんです。「もういいよ」って言うくらい褒めてくれる。
大人だって嬉しいですよね、褒められたら。認められた気がしますよね。子育てもそうやってしていたの?
レミさん:うん、そうよ。ダメだ、ダメだ、って言ったら、どんどんダメになっていくでしょ。馬鹿だ、馬鹿だ、なんて言っていたら、どんどん馬鹿になると思わない?
子どもも大人も、そこから「何くそ〜」って頑張る人なんてなかなかいないわよ。
でも私、めっちゃめっちゃ子育て下手だったわ。もう40年も前で、あーちゃん生まれてない頃だけど、思い返すと、本当にひどかった。数え切れないほど子育ての失敗話はあるわよ。
明日香さん:例えば?
レミさん:ある朝、「今日から夏休みだから寝てなさい」って息子達に言ったのよ。そうしたら、その日が終業式でさ。学校はないと思ってたら、先生がうちに通信簿持ってきちゃってね。
ホント、ダメなお母さんだったわ。進学の時に書いてもらった内申書も無くしちゃってさ。
明日香さん:えー! それは内申点に響きそう(笑)
レミさん:書き直してはくれたけどね。
あとは、息子が剣道を習っていて、その先生にたくさんお子さんがいるっていうから、うちにあった大きなお菓子の詰め合わせを持たせたことがあったのよ。剣道の道具とお菓子を、息子が重そうに持って家を出たのを確かに見たのよね。
翌日、ふと気づいたら、あるのよ。お菓子の包みが、椅子の上に! 一体、何を息子に持たせたんだろう。
おかしいな、おかしいな、と思って剣道の先生に電話したら、
「レミさんのことだから、これでいいと思ってもう使っちゃってます」
って言われて。それが、香典返しのシーツの包みで、戒名を書いた手紙まで入っていたって!
そんな感じで、私、本当にダメな人だったのよ。
遠足の持ち物を書いたプリントをなくしても、息子たちが解決
明日香さん:だから夫はしっかりしていますよ。
レミさん:そう。あーちゃんが言うのよね。「息子2人ともしっかりしているから、その育て方でよかったんですよ、レミさん」って。
明日香さん:夫に聞いたんですけど、当時、子ども2人で病院に血液型を調べに行ったことがあって。レミさんは「そんなの調べなくていい」っていうスタンスだったから、「お母さんが連れて行ってくれないなら、もう、自分たちでやれることはやる」っていう感じだったって。
レミさん:そんなこともあったわね。それで、二人の息子の血液型、こっちはOで、こっちはBって思っていたら、見事に反対だったのよね。
もう、あの時は驚いたわ! 「お母さん違ってたよ、僕がBだったよ」とか言われちゃって。
明日香さん:それから遠足の時もだよね。
レミさん:ああ! 学校の遠足の時の持ち物を書いたプリントを、私がどっかにやっちゃったらしいの。それで息子たちは、友達のお母さんに電話して持ち物を聞いて、私のスケジュール帳に「ハンカチ、水筒、弁当」って。
かわいい、ひっくり返った字で、いっぱい書かれちゃってさ。
それで、「お母さん、これ持っていくんだよ、用意して」って。それくらい、息子たちの方がちゃんとしていたのよね。
明日香さん:それでも信用ならないからって、遠足の1週間前から、息子たちは水筒にお茶を入れて用意していたという。で、当日の朝には腐っていたって(笑)。
レミさん:りっちゃん(次男・和田明日香さんの夫・和田率さん)は、心配で1週間前から準備しちゃうタイプなのよ。しょうちゃん(長男・和田唱さん)は、その日の朝に「水筒がないよ、水筒がどっかいっちゃった」って泣くのよ。大変よ、もう。
こんなことを話しだすとキリがないわね。でも、なんだかんだ、ちゃんと育って。「俺たち、よくグレなかったよなあ」なんて、今になって言ってるけどね。
愛情さえ持って接していれば、何も心配することなかったなって思いますよ。
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約40年前のレミさんの子育ての失敗談、なかなか衝撃的でした!
第2回は、おふたりの共働きと子育て中の料理作りについてお話いただきます。
取材・文/浅妻千映子
平野レミ(ひらのれみ)
料理愛好家。シャンソン歌手。フランス文学者・平野威馬雄の長女。夫は和田誠氏。
主婦として家庭料理を作り続けた経験を生かし、「料理愛好家」として活躍。「シェフ」ではなく、「シュフ」の料理をモットーに、テレビ、雑誌などで数々のアイデア料理を発信中。また、講演会、エッセイを通じて、明るく元気なライフスタイルを提案するほか、レミパンやエプロンをはじめとした、キッチングッズの開発も手がける。
近著に『家族の味』(ポプラ社)、『野菜の恩返し』、『新版 平野レミの作って幸せ・食べて幸せ』(主婦の友社)など
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和田明日香(わだあすか)
1987年生まれ。東京都出身。3児の母。料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでオリジナルレシピを紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動のほか、講演会、コラム執筆、テレビ出演など幅広く活躍中。2018年ベストマザー賞を受賞。
近著に『10年かかって地味ごはん』(主婦の友社)、『ほったらかしレシピ献立編』(タツミムック)、『子どもは相棒 悩まない子育て』(ぴあ)など
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