過去の振り返り=フィードバックは、子どもにも親にも負担になる
──「フィードバック」はよく聞きますが、「フィードフォワード」という言葉ははじめて耳にしました。
久野和禎さん(以下久野さん) 「簡単に言ってしまえば、『フィードバック』の対象は『過去』であり、『フィードフォワード』の対象は『未来』という違いがあります。
たとえば、お子さんが忘れ物をしたとしましょう。
そのときに『どうして忘れたの?』『ちゃんと明日の準備をしなかったからだよね』『先生の話をちゃんときいていた?』『そもそもあなたは忘れ物が多い。もっと注意しないと』などなど、『過去』のことを話し続けてしまった経験は、だれしもあるのではないでしょうか。これがフィードバックです。
フィードフォワードの技法を使った問いかけは、こうなります。
『明日、忘れ物をしないためには、どうしたらいいと思う?』
どちらも、ほんとうの目的は、『子どもの未来をよくする=忘れ物をなくす』ということなのですが、『フィードバック』は、手段そのものが目的になってしまいがちなんです」
──思い当たることがたくさんあります。
久野さん「それに、『フィードバック』は、するほうもされるほうも楽しくないんです。
親や先生から『過去』のことについてあれこれ『フィードバックされるのが大好き』という子どもは、あまりいないのではないでしょうか。
『フィードバック』は、するほうにも精神的な負担を強いることになります。
みなさんも、『できれば言いたくはないけれど、自分が言わなくては』という義務感から、お子さんにフィードバックしていることが多いのではないでしょうか」
──なるほど、そうですね。