
防災備蓄は安全スペースに
防災リュックほど意識していない方も多いかもしれませんが、防災備蓄の保管場所も命に関わります。
「防災備蓄は、自宅避難時に命をつなぐためのものです。数日~数週間、安全に過ごすためには『安全スペース』に置くことが基本です。
安全スペースとは、落下物・転倒物・飛散物の危険がなく、窓ガラスから離れている1畳以上のスペースをいいます。この条件が揃っていれば、寝室でも廊下でも構いません。
さらに、防災備蓄は安全スペースだけでなく、キッチン・寝室・廊下など複数の場所に分けて置く『分散収納』もおすすめです。分散収納は、家のどこで被災しても食料や水をすぐ手にできるようにするための工夫です。
分散収納をおすすめする理由は、主に次の3つです。
①1ヵ所の収納庫の扉が開かなくなっても、他の場所に収納していた防災備蓄が使用できる。
②収納スペースが少ないといったお悩みが解決できる。
③万が一、誰かが部屋に閉じ込められた場合でも、その部屋に防災備蓄があればすぐに使用できる。
また、洪水の場合は1階浸水の可能性もあるため、2階以上がある建物にお住まいなら上階にも備蓄を置くことも検討しましょう」(長柴さん)
平常時の収納と防災グッズ収納は別物! 最大の違いとは
防災グッズを準備していても、平常時と同じように収納している家庭も少なくありません。しかし、防災収納には平常時収納と決定的な違いがあります。
「防災グッズは、災害時にすぐ使える状態で保管することが何より重要です。たとえば、押し入れの奥に防災グッズをしまい、手前に別の物を置いてしまうと、いざというときに取り出せません。
取り出せなければ、せっかくの備えも意味を失います。そこで、キャスター付きワゴンや引き出し式収納など、すぐに引き出せる工夫を取り入れましょう。ただ、キャスター付きワゴンを使用する場合は、地震対策のためにストッパーで随時固定しておくことを忘れないようにしてください」(長柴さん)

「また、中身を把握するにはラベリングがおすすめです。箱の正面に物の名前を書いたシールやテープを貼るだけでもOKですが、引き出しの中身の写真を印刷して貼ると視覚的にわかりやすくなります」(長柴さん)

あなたの収納、大丈夫? NGな防災グッズ収納例
防災グッズは命をつなぐためのものですが、収納のしかたを誤ると逆に命を脅かす危険もあります。
「防災グッズの収納でやってはいけないNG例を紹介します。なぜNGなのか、一緒に考えてみましょう」(長柴さん)
・2リットルのペットボトルを蓋付き収納ケースに入れ、それを2段に重ねている。
・スチールラックの棚2段に、2リットルのペットボトルを立てて置いている。
・オープン棚に飲料水や食品を一つひとつきれいに並べている。
・高い棚に、カセットコンロや飲料水を収納している。