10代女性の93%が「容姿に自信がない」! 日本に今、必要な新価値観“ボディニュートラル”とは

10代の子と親が知っておきたい「性」の新知識 #3~思春期の心や体の悩み編~

医療ライター:及川 夕子

ありのままの自分を受け入れる「ボディニュートラル」

ダイエットや摂食障害など10代が抱える体型の悩み。心や体が変化する思春期は、とくに周りとの違いが気になってしまいそうです。

本書で取り上げるのは、「ボディニュートラル」という価値観です。

海外のセレブから生まれたムーブメントで、もともとは人の体型を批判する「ボディシェイミング」に苦しむ海外のセレブたちが反対運動を起こし、自分の体型をポジティブにとらえる価値観「ボディポジティブ」が生まれました。

そこからさらに「自分の体型を好きでも嫌いでもいいし、無理にポジティブにとらえなくてもいい」と自分のありのままを受け入れる「ボディニュートラル」が広がったそうです。

「前向きになれないときに、無理してポジティブになろうとしても疲れてしまいますよね。ボディニュートラルでは、『自分の体についてポジティブにとらえよう』という価値観からも解放されます。

本書のベースにあるのはユネスコの『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』ですが、今の女性に必要な知識としてガイダンスの内容に沿った形でアップデートしました」(及川さん)

“前向きな自分も落ち込んでしまう自分も、自分であることに変わりない”そう考えて受け入れる。体型にかかわらず、自分のあり方にも通じる考え方といえます。

本書では、気持ちが楽になるための考え方のヒントも紹介しています。  引用:『はたらく細胞LADY 10代女性が知っておきたい「性」の新知識』(講談社)より

ほめる・けなすにかかわらず、誰かの見た目に言及するのはNG

子どもが自分に自信を持ち、自身で進路を選択できるようになってほしい。そう思うパパママもいるでしょう。それには保護者自身の発言も関わってくるといいます。

「私自身の経験からも、親の何気ない発言が子どもに与える影響も大きいと感じます。

たとえば、『美人は得』『結局、痩せているほうがいい』など、お子さんと一緒にテレビを見ながら親御さんがタレントさんなどの見た目について言及するケース。ポロッと出てしまった発言だとしても、『人には生まれつき格差があって、それは仕方ないことなんだ』とお子さんに思わせてしまう可能性があります」(及川さん)

「まずは大人が価値観を変えていくべき」と及川さん。「ほめる」「けなす」に関係なく、他人の見た目をジャッジするのはルッキズムであり、差別的な発言になってしまうことを心にとめておきましょう。

第4回は、ジェンダーについて伺います。

取材・文/畑菜穂子

細胞たちが、思春期に起こる心や体の変化やジェンダー、多様性などについて詳しく解説してくれる『はたらく細胞LADY 10代女性が知っておきたい「性」の新知識』(著者:及川夕子 監修:高橋幸子 原田重光 乙川灯 清水茜/講談社)。
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おいかわ ゆうこ

及川 夕子

医療ライター

新聞社勤務を経てフリーランスに。新聞、雑誌、WEBメディアなどで、記事の企画、編集、執筆を手がける。近年は、女性の健康・美容、更年期のヘルスケア、医療分野の取材、執筆を中心に活動。 著書に『365日機嫌のいいカラダでいたい。現代を生きる私たちのヘルスケア・アップデートブック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『はたらく細胞LADY 10代女性が知っておきたい「性」の新知識』(講談社)。

新聞社勤務を経てフリーランスに。新聞、雑誌、WEBメディアなどで、記事の企画、編集、執筆を手がける。近年は、女性の健康・美容、更年期のヘルスケア、医療分野の取材、執筆を中心に活動。 著書に『365日機嫌のいいカラダでいたい。現代を生きる私たちのヘルスケア・アップデートブック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『はたらく細胞LADY 10代女性が知っておきたい「性」の新知識』(講談社)。

はた なおこ

畑 菜穂子

ライター

1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona

1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona