授乳期から始める子どもの【低位舌】対策 「離乳食」「歯みがき」「変顔」で予防〔専門家が伝授〕 

口腔内の成長は乳幼児から! 舌が下がることの危険性と生活習慣 #3

舌を上顎につけて大きく口を開けられますか?ストレッチを行うことで舌を正しい位置へと導きます。 提供:オウル歯科

親子でやろう! 変顔遊び

お子さんにとっては、やはり親御さんと一緒に楽しみながらできることが一番です。遊び感覚で気軽にできる予防対策を教えていただきました。

「一番のオススメは『ぶくぶくうがい』です。このときチェックしてほしいのは、

(1) 口をきちんと閉じて水を口の中に溜められるか
(2) その状態で口周りを動かすことができるか
(3) 適切な量の水の出を吐き出せるか(水を吐くときにコントロールできているか)

の3つです。

口から水が漏れてあごや首まで濡れてないか、口をすぼめることができずに広い範囲にバシャーと吐いていないかを確認してあげてください。お風呂の中なら濡れても平気なので、バスタイムにぶくぶくうがいを楽しんでやるといいですね。

顔を使って遊ぶ『にらめっこ』や『あっぷっぷ』のような変顔遊びもぜひ親子で一緒にやってみてください。というのも、実は大人も顔をうまく動かせない人が多いからです。

口笛が吹けなかったり、『う』の口ができなかったりする人が多くいます。年齢を重ねると唇が薄くなっていくのは、口周りの筋肉が弱って上唇が中に入り込んでしまうからなんです。頰の筋肉を使っていないことがマリオットラインやほうれい線にもつながります」(石塚先生)

口を使う遊びも有効だと話します。

「唇をぶるぶると振るわせて音を出す遊びや、風船をふくらますのもいいですね。ゴム風船が難しい場合は紙風船でもいいでしょう。吹き戻しなどのおもちゃも楽しみながら予防ができると思います。

トレーニング用のガムもありますが、食いしばりを助長させる可能性もあるので、こちらを使用する場合は医師の指示を仰ぐようにしてください」(石塚先生)

普段、口の中で無意識に置かれ、何気なく使っている舌ですが、しゃべる・食べる以外の役割と全身に及ぼす影響は計り知れません。子どもを持つ親御さんはもちろん、出産を考えている女性にとっても興味深い話ではなかったでしょうか。

時間に追われ日々忙しくしている私たち現代人にとって、食事や呼吸、姿勢といった生活習慣を見直すことまでなかなか手が回らないかもしれません。まして、自分のことはあと回しにしがちな親御さんにとってはなおさらのことでしょう。

ですが、もし今なにかしら体の不調を感じているとしたら、実はそれは低位舌が原因かもしれません。思い当たる節があったら、まずはご自身やご家族の舌チェックから始めてみませんか。

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石塚 ひろみ(いしづか ひろみ)
歯科医師。オウル歯科院長。オンラインサロン『舌の学校』主催。日本大学歯学部卒業後、都内のクリニック勤務を経て、田中歯科を継承。2015年、名称をオウル歯科に変更し移転開業。一番身近な歯科医院として歯科治療に邁進し、地元住民から親しまれている。近年は、舌の機能の重要性を広める活動も精力的に行っており、歯科関係者以外からも多数の相談や要望を受けている。

【書籍】
『なんとなく不調がスッキリする~舌はがし健康法(晶文社)』
【執筆協力】
『病気をもつ子供と家族のための「おうちで暮らす」ガイドブックQ&A』
その他、雑誌・新聞等多数掲載

取材・文/伊藤千鶴

『舌が下がることの危険性と生活習慣』の連載は、全3回。
第1回を読む。
第2回を読む。

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