紙おむつの捨て方が変わる? 使用済みおむつがリサイクルされる日

SDGsで考える「おむつの未来」 #4 わたしたちのアクション

遠藤 るりこ

私たちの生活はどう変わるの?

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紙おむつの水平リサイクルが実現した未来には、私たちの生活はどう変わるのでしょうか。

「おむつの値段は高くなるのか?」、「ゴミの出し方は変わる?」など、素朴な疑問を両社に聞いてみました。

「通常のおむつのほか、リサイクルおむつという選択肢がある未来になれば」と語るのは大王製紙の竹内さんです。

「もちろんリサイクルおむつにかかる開発コストはあります。しかし、将来的にはほかのおむつと変わらないような値段で市場に出せたら、と考えています」(大王製紙・竹内さん)

また、ビン・カン・ペットボトルなどが仕分けされたゴミ箱に捨てられるようになったように、近い将来は紙おむつもきちんと分別して出すことが当たり前の世の中になるのかもしれません。

「使用済み紙おむつをリサイクルするためには、各自治体などと連携して、分別回収に協力してもらう必要があります。そして将来的には、『消費されない消費財』として紙おむつの循環が当然である世の中を目指していきます」(ユニ・チャーム・織田さん)

今日からできる個人でのアクション

紙おむつの分別回収にも課題はあります。

「介護用紙おむつだと、中に手袋や新聞紙などが入っている場合があり、それはリサイクルに適さないためしっかり分別してほしい」と織田さん。ちなみに「乳幼児用のおしりふきは不織布なので、おむつに入れたままでも大丈夫」と教えてくれました。

「ペットボトルの約9割が回収できている日本ですが、それだけ回収しても水平リサイクルができている率は約3割程度だといいます。

それは、まわりのラベルをはがす、ふたは分ける、飲み残しは捨てる、ゴミ入れに使用しない、少しゆすぐなどの、処理をしていないものがあるからだそうです。せっかく集めているのにリサイクルできていないなんて悲しいですよね。

紙おむつも排泄物の処理や分別を一人ひとりがきちんと行い、回収場所に廃棄いただけたらと思います」(ユニ・チャーム・織田さん)

大王製紙の竹内さんも、ゴミの分別について「『ほかのゴミと分けて出すのが面倒だ』と思う人も多いなか、人の行動や気持ちを変えるのは容易ではない」と話します。

「紙おむつを日常的に使う、育児や介護に携わっている人は、時間的にも精神的にもただでさえ負担が多い。そのなかで、どう負担をかけずに分別を推進していくのかが難しいところです。

リサイクル技術開発や地方自治体との連携と、個人への分別協力のお願いは、両輪でやっていく必要があると感じています」(大王製紙・竹内さん)

「リサイクル技術が確立し、設備が整ってから回収・分別の準備をはじめるのではなく、今から意識して準備できることがあるということを知っていただき、心がけていただけたらと思います」(ユニ・チャーム・織田さん)

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10年ほど前にユニ・チャームが始めた、紙おむつの水平リサイクルへの取り組みは、紙おむつ業界や関連する業界に拡がりつつあります。「今後は業界の垣根を超えた取り組みのなかで、課題解決に取り組みたい」と、ユニ・チャームの織田さんは話してくれました。

布おむつから紙おむつへと時代が移り変わったように、リサイクルされた紙おむつが市場に登場する未来が、少しずつ近づいてきています。

わたしたち消費者は、便利な生活を享受するだけでなく、それが持続可能なものであるのかどうか、未来への想像力を持って生活をしていけたらいいのかもしれません。

取材・文/遠藤るりこ

※SDGsで考える「おむつの未来」、連載は全4回。(公開日時までリンク無効)。

#1 保育園から使用済みおむつ持ち帰りは約6人に1人 どうしたらなくなるの?
#2 保育園で「おむつのサブスク」急増 最新事情を6社に徹底取材!
#3 紙おむつが抱える資源・環境・温暖化問題の解決法! おむつ再生技術が期待されるワケ

取材協力
ユニ・チャーム株式会社
https://www.unicharm.co.jp/

「図解でわかる ユニ・チャーム紙おむつリサイクル」
https://www.unicharm.co.jp/ja/csr-eco/education.html

大王製紙株式会社
https://www.daio-paper.co.jp/

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えんどう るりこ

遠藤 るりこ

ライター

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe