
【おせち】なぜお正月に食べるの? 黒豆や海老に込められた願いとは 和文化研究家が解説
【年末年始】親子で話したい日本の行事 ~お正月料理編~ (2/3) 1ページ目に戻る
2025.12.23
和文化研究家:三浦 康子
本来のおせちの意味とは?
お正月は、その年を司る年神様をお迎えし、「五穀豊穣」や「新年の幸福」を祈る行事です。
年神様へ収穫物の報告や、感謝の気持ちを表すのが本来の意味。年神様と一緒に、願いを込めた縁起のいい食べ物をいただきましょう。
「今年もたくさんの収穫物がありました。ありがとうございます」「来年も豊かに暮らせますように」という思いを込めて、その土地で収穫されたものを使い、おせち料理を作るのがもともとの習わしです。
その土地の食文化や考え方と結びついて、独特な食材が入っている地域もあります。現代の情報化社会では、情報が一元化され、おせち料理の個性が失われつつあります。
ぜひ、家族や親戚におせち料理に何を入れるのか尋ねてみてください。その土地の伝統的な食材を知り、受け継ぐ良い機会になるでしょう。
また、おせちには保存が効く料理が多く使われています。これは、「静かに年神様をお迎えするため台所を騒がしくしない」「かまどの神様に休んでいただく」「忙しい女性が少しでも休めるように」などいろいろないわれがあります。
おせちを重箱に詰めるのはなぜ?
おせち料理は重箱に詰めるイメージがありますね。江戸時代の庶民の家では、塗りの重箱は高価なもので、なかなか用意できませんでした。明治以降、武家での習慣が広がったと考えられています。
もともとは年神様に供える料理と、実際に食べる料理は別でした。関西では「蓬萊飾り(ほうらいかざり)」、関東では「食積(くいつみ)」と呼ばれ、三方(さんぽう)にめでたい食べ物を盛って床の間に供えていました。
それが、徐々に飾りとしての風習が廃れて、食べるための料理が発達していき、時代とともに重箱に詰めるようになりました。
正式には五段の重箱に詰めるのが習わしです。一段目から四段目までには料理を詰め、五段目は空っぽに。そこは、年神様からいただいた福を入れる場所、という意味を込めていました。ちなみに四段目は「与」と書きます。「四」という言葉は縁起が悪いことから避けられました。


































