【おせち】なぜお正月に食べるの? 黒豆や海老に込められた願いとは 和文化研究家が解説

【年末年始】親子で話したい日本の行事 ~お正月料理編~ (3/3) 1ページ目に戻る

和文化研究家:三浦 康子

一の重・二の重・三の重

現在では、一段から三段のおせちが主流ですね。1・3・5・7・9といった吉数(奇数)で料理の個数や種類を揃えると縁起が良いとされています。

一の重

一の重は重箱の一番上の段のこと。「口取り」「祝い肴」とも言い、お正月らしいお祝いの料理を詰めます。なかでも「三種肴(さんしゅこう)」「三つ肴」と呼ばれる数の子、田作り、黒豆は欠かせない食材です。それぞれに意味があります。

写真:mike_taro/イメージマート
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数の子…子宝、子孫繁栄
田作り…イワシが田畑の肥料だったことから、豊作祈願
黒豆…まめに働き、まめに暮らせるように
たたきごぼう…ごぼうのように深く根を張り、代々繁栄。ごぼうをたたいて開くことから開運祈願
・紅白かまぼこ…紅白でめでたい。半円形は日の出のかたち。初日の出で神様の降臨を表す。紅は魔除け、白は清浄
伊達巻き…巻きものが書物や掛け軸に通じることから、知識や文化の発達
昆布巻き…「喜ぶ」「養老昆布」にかけられている
栗きんとん…栗は「勝ち栗」と呼ばれて、縁起が良い。きんとんは「金団」と書き、見た目も金色で金運の向上につながる
ちょろぎ…シソ科の植物。土の下にある塊茎部分を使用。「長老喜」「千世呂木」と書き、長寿を願う縁起物

二の重

焼き物中心の段になります。縁起をかつぐ海の幸を詰めます。

写真:YATA/イメージマート

ぶり…大きくなるにつれて名称が変わる出世魚。立身出世を願う
…「めでたい」にかけて
海老…腰が曲がるまで長生きできるように

三の重

山の幸を使った煮物をメインにした段になります。家族が仲良くなるよう願いを込めて煮しめにします。

写真:AUOOAA/イメージマート

蓮根…穴が空いていることから、将来が見通せるように
里芋…子孫繁栄。子芋をたくさんつけるため
八つ頭…頭となって出世するように。子芋がたくさんつくので子孫繫栄
くわい…大きな芽が出るので「めでたい」縁起物。子孫繁栄
ごぼう…根を深く張り、代々繁栄するように

おせちはいつ食べるのがよい?

全国的には、元旦に家族みんなでお祝いしていただくのが一般的です。北海道など、一部の地域では大晦日の晩に食べるという習わしのところもあります。

昔、庶民の間では日が暮れると日付が変わるという考え方がありました。その流れで、大晦日に、日が沈んだら元日を迎えると考え、このタイミングでおせちを食べる習慣が現代に残りました。

おせちを味わうときは祝い箸で

写真:makoto.h/イメージマート

おせちをいただくときは、慶事用の「祝い箸」を使いましょう。祝い箸は左右、両方削ってあり、一方を神様用と考え、神様と人が共に食事をすることを表しています。両方使えるからといって、ひっくり返して取り箸として使ってはいけません。

お正月の祝い箸にも習わしがあります。家長が大晦日に家族の名前をそれぞれの箸袋に書きます。それを神棚に供え、元旦におろして使います。

神棚のない家では、年神様が宿るとされる鏡餅に祝い箸を供えても良いでしょう。

お正月にお迎えする年神様と一緒におせちをいただき、感謝を忘れず良い年を迎えましょう。

取材・文/尾関久美子

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『おせち』監修:三浦康子(福音館書店)
『かしこい子に育つ季節の遊び 楽しい体験が心を豊かにする12か月の行事育』著:三浦康子(青春出版社)
『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』著:三浦康子(永岡書店)

【関連書籍】

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みうら やすこ

三浦 康子

Yasuko Miura
和文化研究家、ライフコーディネーター

古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などでレクチャーしており、行事を子育てに活かす「行事育」提唱者としても注目されている。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭をとるなど活動は多岐にわたる。 著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)、『かしこい子に育つ季節の遊び 楽しい体験が心を豊かにする12か月の行事育』(青春出版社)、監修書『おせち』(福音館書店)、『季節を愉しむ366日』(朝日新聞出版)ほか多数。 HP https://wa-bunka.com/

古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などでレクチャーしており、行事を子育てに活かす「行事育」提唱者としても注目されている。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭をとるなど活動は多岐にわたる。 著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)、『かしこい子に育つ季節の遊び 楽しい体験が心を豊かにする12か月の行事育』(青春出版社)、監修書『おせち』(福音館書店)、『季節を愉しむ366日』(朝日新聞出版)ほか多数。 HP https://wa-bunka.com/