藝大の教授が教える「子どもの見る力」の育て方とは 激変する社会を生き抜く「コスパ・タイパ主義」ではない力

“一生モノの感性”の育て方/前編

東京藝術大学大学美術館で開催される特別展『藝大式美術の“ミカタ”―この夏、藝大生になる―』総合監修を務める古田亮教授
▲『藝大式美術の“ミカタ”―この夏、藝大生になる―』の総合監修を務める古田亮教授
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夏休みのおでかけや自由研究のテーマ探しに、どこに行こうか、何をさせようかと頭を悩ませている親御さんも多いのではないでしょうか。

そんな悩みを解決するのにピッタリの催しが、この夏、東京藝術大学大学美術館で開催される『藝大式美術の“ミカタ”―この夏、藝大生になる―』です。

同展は、東京藝大の現役教授陣による「12の講義」をテーマにした展覧会という、これまでにないユニークな試み。

この記事では、同展の総合監修を務める古田亮教授に、「センスや才能」の先にある、子どもたちの可能性をひらく美術の本当の“ミカタ(見方)”について伺いました。

●PROFILE 古田亮(ふるたりょう) 1964年生まれ、東京都出身。東京藝術大学大学院美術研究科日本東洋美術史専攻博士後期課程中退。1993 年より東京国立博物館に勤務。東京国立近代美術館主任研究官を経て、2021年から東京藝術大学大学美術館教授。専門は近代日本美術史。「琳派 RIMPA展」や「揺らぐ近代展」、「大吉原展」など話題性の高い美術展を企画し、多くの関心を集めている。

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2回目を読む※2026年●月●日公開

「藝大」って、どんなことを学ぶ場所?

【キービジュアル】小倉遊亀「径」1966年 東京藝術大学蔵
【キービジュアル】小倉遊亀「径」1966年 東京藝術大学蔵

──美術というと、“選ばれし者が学ぶ”というイメージです。美術をさまざまな角度から研究・実践する藝大生は、大学でどのようなことを学ぶのでしょうか。

古田亮さん(以下、古田さん):東京藝大はたくさんの学科と専攻に分かれており、専攻によって学ぶ内容は全く異なります。

藝大での学びは学生の持ち前の才能を磨くという面もありますが、それ以上に大切なのが「自分が気づいてないところに気づく」力を身につけることです。

どれほど才能があっても、持ち前の才能を入り口に一人で学び、すくすくと成長して芸術家として万々歳、ということはまずありません。

先生から学んだり、自分とは異なる才能を持つ他の人と共に学んだりすることで、自分一人では得られなかった気づきを得る。それこそが、藝大で学ぶ意義だと思います。

藝大の講義では、自分が専攻する対象の見方や観察の仕方を学びます。もちろん、ものの見方、観察の仕方はひとつではありません。対象によっても違いますし、先生ごとに方法論も異なります。

学生はさまざまな見方とその違いを知ったうえで、「では、自分はどう見るか」を考えます。藝大は、そういったヒントを数多く用意してくれている場所であると言えるでしょう。

そして、次のステップが非常に重要です。

「教えられるだけ」では、その先には行けない

古田さん:単に先生から教えられたことを行儀よくできるようになったというだけでは、藝大生としてはやはり物足りない。究極の話になりますが、ただ教えられているかぎり、その先には行けません。

一方、その先に進むことができれば、芸術家として活躍することを含め、美術に関わる仕事に就けるチャンスは多くなります。

その先に行くために、自分はどうすればよいのか。それを先生や先輩などから学ぶことができる、一番いい場所ではないかと思います。

黒田清輝「トゥルプ博士の解剖講義」1888年 東京藝術大学蔵 レンブラント・ファン・レイン原作 ──────────── 特別展『藝大式美術の“ミカタ”―この夏、藝大生になる―』の展示「1限目 模写してわかる油絵のミカタ」では、西洋画の教育手段として重視されてきた“模写”にフォーカス。黒田清輝など偉大な先達の作品と現役生たちの模写の取り組みを展示。模写を通して、「美のこころ」がどのように解釈されたのか。藝大生の「美術の“ミカタ”」に迫ります。 ────────────
黒田清輝「トゥルプ博士の解剖講義」1888年 東京藝術大学蔵
レンブラント・ファン・レイン原作

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『藝大式美術の“ミカタ”―この夏、藝大生になる―』の展示1限目絵画基礎講習「まねぶ美術館~模写でよみとく美の手とこころ」では、西洋画の教育手段として重視されてきた“模写”にフォーカス。黒田清輝など偉大な先達の作品と現役生たちの模写の取り組みを展示。模写を通して、「美のこころ」がどのように解釈されたのか。藝大生の「美術の“ミカタ”」に迫ります。
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古田先生が教える「美術展」を親子で楽しむコツ

──美術鑑賞をすることに慣れていない人たちにとっては、せっかく美術館に足を運んでも「どう見ればいいのかわからない」となる心配が……。今回の企画展を親子で楽しむためのコツはあるでしょうか。

展示を順番に見ない子ども、どうしたら良い?

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