安青錦関と同時期に避難した“在日ウクライナ人女性”がプラネタリウムで解説! 戦禍を逃れ笑顔を取り戻すまで

ウクライナのプラネタリウム解説員・オレナさんインタビュー第1回/全2回 ~母国から日本へ~ (2/3) 1ページ目に戻る

フリーライター:浜田 奈美

「頭上をごらんください。ペガサス座の明るい4つの星が、四角を描いています。これが秋の四辺形。日本ではこの四角形に国旗を重ねて考えますが、今日は二つの文化を結ぶため、ウクライナの国旗を重ねてみました」

2025年10月下旬の週末、東京都足立区の複合文化施設「ギャラクシティ」で、ウクライナ人のプラネタリウム解説員、オレナ・ゼムリヤチェンコさんによる投影イベントが開かれました。オレナさんは流ちょうな日本語で、星座や星の説明の中に、故郷・ウクライナの物語を交えながら説明していきます。

「日本では秋にはお月見をしますね。農業が盛んなウクライナでは毎年秋、各地で収穫祭が開かれます。採れたての小麦でパンを焼き、豆入りのボルシチを作り、みんなで一緒に食べて、大地の恵みに感謝をささげます」

そして投影ドームには、ウクライナの民族衣装を着て、満面の笑みで収穫を祝いあう人々の幸福そうな写真が映し出されました。ただしこれは実際の写真ではなく、オレナさんがこのイベントのためにAIで合成したものでした。

「戦争が始まる前は、ウクライナの各地でこういう風景が見られました」

オレナさんは、現在、首都圏を中心に日本の各地でこのような「投影イベント」を開いています。ウクライナでの星の見え方や星座のエピソード、また自国の文化などについて、ていねいに説明します。事前に準備した資料をもとに、練習を重ねた日本語で、優しく語りかけてくれます。

ウクライナは2022年2月24日に始まったロシアによる軍事侵攻により、今なお戦争状態にあります。オレナさんはウクライナ北東部のハルキウ州で生まれ育ち、家族と共に暮らしていましたが、侵攻を受けてチェコで働いていた夫・ミハイロさんのもとへ避難。しかし戦争が長期化すると考え、夫婦で同年の4月末に日本へと避難したのです。

学校卒業時、平和だったころのオレナさん。  写真提供:オレナ・ゼムリヤチェンコさん
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本当に戦争が始まるとは誰も考えていなかった

ロシアの侵攻直後、チェコで再会したオレナさんの様子を、夫のミハイロさんは9月に都内で開かれたイベントでこう振り返りました。

「私たちは常にロシアの脅威にさらされていました。ウクライナの東部では衝突が続いていましたが、まさか本当に戦争が始まるとは、誰も考えていなかったと思います」

ミハイロさんが言うように、2014年にはロシアがウクライナの国土だったクリミア半島を一方的に占領し、「併合」を宣言しました。

「2022年2月の軍事侵攻では、妻の職場近くでも大きな爆撃があったそうです。私たちがチェコで再会できたとき、オレナは涙を流しながら、いかに恐ろしい体験だったかを話し続けました。彼女は恐怖のあまり、すっかり衰弱していました」(ミハイロさん)

チェコはウクライナから近いこともあり、戦禍を逃れるウクライナ人が続々と避難してきていました。夫と再会したオレナさんは何とか落ち着きを取り戻したものの、問題は、「この戦闘は、いつ終わるのかが分からない」ということでした。

ミハイロさんは、見通せない戦況と、恐怖におびえるオレナさんの様子に、「もっと安全な場所に行こう」と考えたそうです。

オレナさんはこう振り返ります。

「チェコには多くの人が避難していたため、安定した仕事が見つけられず、避難生活は難しいと感じました。そのため私たちは少し離れた場所を探そうと考えたのです」

そんなとき、オレナさんの職場の同僚が、「日本が避難民を受け入れるプログラムがある」と教えてくれたそうです。「私たち家族と一緒に日本に行かないか」と誘われ、オレナさん夫妻は、日本行きを決断したのです。

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