完璧な義妹の子育て
そんなある年のお盆のこと。義弟の妻であるAちゃんが出産し、仕事前の義弟に送られて、初めて赤ちゃんを連れて帰省してきました。
義弟は出張がちで、今回のお盆休みも不在。Aちゃんは義実家から車で30分ほどの場所に住んでいるため、今回はAちゃんひとりで赤ちゃんを連れての帰省です。
義実家の古い風習にも文句ひとつ言わず、きっちり合わせることのできるAちゃん。育児に対して、完全母乳で、離乳食はすべて手作り。義実家にいる間はスマホは一切触りません。
起床、就寝、お風呂、絵本の読み聞かせまで、義実家への帰省中も、家での毎日のルーティンを守っているようでした。授乳中もずっと赤ちゃんを愛おしそうに見つめ、優しい笑顔を絶やさないAちゃん。
そんな彼女を見て、義父や私の夫は「いやあ、Aちゃんは本当に立派なお母さんだ」と大絶賛。私も「すごいな……」と純粋に感心していました。けれどその一方で、赤ちゃんが少しぐずった瞬間、Aちゃんが不安そうな表情を浮かべたことが気になりました。
「ちゃんとしていない嫁」の居心地の悪さ
完璧な子育てぶりを発揮するAちゃんとは裏腹に、結婚して何年経っても、義実家でうまく立ち回れない私。動きやすさを重視して娘にズボンを履かせていたところ、義祖母から「女の子なんだから、お盆くらいちゃんとした格好をさせなさい」とチクリと言われてしまいました。
また少しでも夕食の足しになればと、帰省する途中でお惣菜を買ったのですが、食卓に出すと「最近のお母さんは手抜きができて楽でいいわねぇ」と言われる始末。
気づけばAちゃんは「ちゃんとしたお嫁さん」。一方の私は「ちゃんとしていないお嫁さん」いつの間にか、そんな構図が出来上がっているように感じていました。
実際、私はズボラなところがあるので仕方ない。そう思ってはいるものの、ことあるごとにAちゃんと比べられ、私はだんだんと義実家で肩身の狭い思いをするようになっていきました。
そんなふうに私が落ち込んでいると、あとから義母がそっと近づいてきて、「ごめんね~、うちが古くさくて大変でしょう」と小声でフォローしてくれました。
その言葉で、私は悟りました。義母もまた、義祖母やこの家のルールには決して逆らえないのだと。
義母なりの気遣いはありがたかったものの、「誰にも本音を言えないこの家の空気」に、私はどこか胸がざわついていたのです。
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