首都圏都市部にもクマは出る!? 子どもたちへクマ先生が教える「アーバンベア」が現れた真の理由[専門家が警告]

#3 夏の子連れレジャーの“クマ”対策「環境教育編」岩手大学農学部 山内貴義准教授インタビュー (2/3) 1ページ目に戻る

岩手大学農学部准教授:山内 貴義

エサへの執着心と大食漢な理由

日本に生息するクマは、本州と四国に分布する「ツキノワグマ」と、北海道に分布する「ヒグマ」の2種です。

一年のサイクルはほとんど同じで、11月下旬~3月ごろは冬眠と出産、6~7月ごろは繁殖期、9~11月ごろは冬眠に備えて食欲が増す飽食期に当たります。

「毎月のように目撃ニュースを見るけれど、冬眠中以外はいつも危険なの?」と思うかもしれません。これは、クマの「体の構造」に理由があります。

「クマは植物を中心に食べる雑食ですが、実は植物の消化率がものすごく悪いんです。シカやカモシカなどは、食べた植物を何度も反芻(はんすう)してゆっくり栄養を吸収できます。

しかしクマは、山ブドウを食べたら実の形のままフンに出てきてしまうほど消化が苦手。腸の長さも肉食獣並みに短いんです」(山内准教授)

そのため、クマは活動している間、ほぼ休むことなく食べ物を探し続けています。食べ物への執着が強いのは、大きな体を維持するため、食べ続けなければ生きていけないからです。

「山のエサが不足すると、生きるために農作物や果樹を求めて人里まで行動範囲を広げます。ただし、このようにクマが人里へ現れること自体は、昔から決して珍しいことではありませんでした」(山内准教授)

では、なぜ近年になって、人里ひいては市街地での人身被害や目撃情報がこれほど増えているのでしょうか。

「アーバンベア」急増の背景にある人間の社会問題 >

かつては、人が農業や林業を営み、草刈りなどで里山を管理することで、「山」と「人里」の境界が保たれていました。しかし、人口減少や高齢化によって、その境界は曖昧(あいまい)になりつつあります。

「手入れされない土地が増えたことで、クマは人里へ近づきやすくなっています。地域によっては人と野生動物のパワーバランスが逆転しているところもあります」(山内准教授)

草むらの茂みから顔をのぞかせるクマ。ただ恐れるのではなく、適切な距離を保つためにはどのような対策が必要なのだろうか。  写真提供:山内貴義
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ここで見逃せないのは、クマの学習能力の高さです。

「人里に放置された柿や栗などの果樹や農作物、屋外に置かれた生ゴミなどの味を一度覚えてしまうと、『人里=エサ場』と学習し、同じ場所へ何度もやってきます。山で木の実などを食べるよりも、栄養効率もいいですよね。さらに、人里に出入りするうちに、人間や車などに慣れてしまう『人馴れ』が進むことも問題です」(山内准教授)

こうしたクマの中には、河川敷や草木が生い茂る場所を移動ルートとして行動範囲を広げ、市街地まで入り込む個体も現れます。

「人に危害を加える個体は、やむを得ず駆除しなければならない。しかし、駆除は根本的な解決にはなりません。まずは『人里に依存するクマをつくらないこと』こそ、私たち人間の重要な役割なのです」(山内准教授)

果樹や野菜畑を放置しない、生ゴミを適切に管理する、草刈りをして見通しをよくする──。こうした地道な取り組みが、人里に依存するクマを生まないことにつながります。

首都圏に出没も時間の問題!?

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