「自由進度学習」のさらなる挑戦「複数教科同時進行」「低学年への導入」へ

【小学校教育2.0】廿日市市立宮園小学校の挑戦#3「自由進度学習のさらなる進化」

「子どもは生まれながらに学ぶ力を持っている。適切な学習教材や環境があれば、その力を存分に発揮し、自ら進んで学んでいくことができる」

自由進度学習で子どもたちが主体的に、楽しそうに学ぶ姿を目の当たりにした宮園小学校の先生たちは、こう実感したといいます。そして、「子どもたちにもっと学びを委ねていこう」と考えるようになっていきます。

そうして新たに始まったのが、「複数教科同時進行」型の自由進度学習と、低学年の自由進度学習です。

第3回は、進化を続ける宮園小学校の自由進度学習の具体的な取り組み、今後の展開についてうかがいます。
※全3回の第3回(#1#2、を読む)

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家庭学習にも発展! 「自由」は意欲を高める

2020年から取り組みを開始した宮園小学校の自由進度学習。1年目は3年生以上の単一教科でスタートしましたが、先生方の「子どもの捉え方」が大きく変わった結果(変化の詳細は#2参照)、2年目の2021年からは、さらに子どもたちが選択できる範囲、方法を拡大した取り組みに発展していきます。

その一つが「複数教科同時進行」です。主に高学年(5、6年生)で導入しました。これは、2つ以上の教科の時間を一体化し、子どもが自分で計画を立てて学習を行う形式です。

5年生では社会と算数、6年生では算数と理科の時間で行い、最初に子どもたちが2つの教科を組み合わせた計画「MY時間割」を作成しました。これに沿って学習を進めていき、毎回授業の最後に「振り返りシート」を記入します。

実際に子どもたちが使っているMY時間割。  写真提供:宮園小学校

振り返りを行うことで学習内容を定着させるとともに、進捗の管理を行います。学習が予定通り進まない、反対に早く進んでいる場合は、随時時間割を修正していきます。

二野宮加代子先生は、導入の目的についてこう説明します。

「子どもたちが自ら計画して実行する場面を作ることで、自分の学びを見つめ、自己を調整しながら学ぶ力を育てたいと考えました。複数の教科に一緒に取り組むことで、どの教科にどれくらい時間をかけるかを自分で決めることができ、より一層自立的な学びに近づきます」

そして、実際に導入してみると、子どもたちの学習意欲はさらに高まりました。子どもたちは、自分の得意不得意を認識した上で、「算数を早く進めて、苦手な理科に余裕を持って取り組めるようにしよう」など、上手に時間割を組んでいたといいます。

また、「今日は理科が予定よりも少し遅れてしまったから、時間割を修正しよう」といった具合に、自分で予定を微調整しながら進めることができました。

「そうやって、選択の範囲をさらに広げたら、『予定通り進んでいないので、その分を家でやってくる』と、自主的に家庭で学習をするようになる子もいたんです。さらには、指示したわけでもないのに「家庭学習の計画表」を作って実践を始める子まで出てきました」(二野宮先生)

子どもが自ら作成した家庭学習の計画表。  写真提供:宮園小学校

自分で自由に学びを進められるようになり、子どもたちにとって、学びがますます楽しいものになっていったようです。

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