「勉強しなさい!」「片づけなさい!」ガミガミ𠮟りから卒業するために親がやるべきこと

これでもう子どもを𠮟らなくてもいい!【自分で考えて行動できる子になる子育て #2】

心の矢印を外向きに! 他人の気持ちがわかる「共感力」の育て方

「共感力」は他人の気持ちを感じとり、良好なコミュニケーションを生む力のことです。この力と子どもの自律的な行動姿勢とのつながりは、目の前に不安が起こったときにそれに怯えて右往左往するか、憂慮を想像しながらも自分を奮い立たせて立ち向かえるかなどとして表れます。

「子どもの共感力を育む1歩目は、心の矢印を外向きにする姿を親が見せてあげることです。たとえば、中学受験を目指している家庭では、親御さんのほうが子どもよりも不安に陥ることがあります。

不安を感じることは悪いことではありませんが、親が不安なときは子どもはその何倍も不安に思っています。

こうなった場合など、親御さんは自分の心配にはいったん目をつむり、子どもが安心する声かけなどを行って、まずはケアに集中しましょう。

自分の不安を脇に置いて他人のことを気にかけていると、不思議と恐れは薄らいでいくものです。また、お母さん・お父さんの行動で、子どもの気持ちは和らぎ、次第に親御さん自身の不安も解消されていきますし、他人を優先している姿を子どもに見せられるはずです」(須合先生)

親御さんが不安を募らせると、子どもはその何倍も不安に陥っていることがあります。 写真:アフロ

親子間の会話は、「正しい」よりも「うれしい」に着目!

親は正論で子どもを𠮟ったり、指導することがありますが、これを続けていくと子どもは消極的になり、自分のやりたいことに対して鈍感になっていきます。また、心のエネルギーが足りなくなっていくと、他人のやりたいことを感じとるセンスも育っていかないと先生はいいます。

「子どもと会話をするときは、正しいよりも『うれしい』に着目してほしいものです。たとえば私は子どもたちと話をするときは、意識的に相手の喜びに着目し、その言葉をオウム返しして、子どもが『自分の話を大人が聞いてくれている』という実感を持てるようにしています。

子ども 『テストで満点がとれてうれしかった!』
私 『そう、うれしかったんだね』


という具体です。応用して『そう、うれしかったんだね。どのくらいうれしかった? 天にも昇るような気持ち?』なんて子どもの表現力を豊かにするような、高度な言葉を加えることもあります」(須合先生)

うれしいだけでなく、そのほかの感情も言語化してあげることが重要です。

「もしも私が小学校5年生と小学校2年生の男の子の父親で、お兄ちゃんが弟の着替えの準備を手伝ったとしたら『洋服を出してくれたんだね、ありがとう。うれしいよ』と、まずは私の感情も含めて伝えます。

そのうえで『自分の準備や勉強も大変なのに、弟を気遣うなんて、それってどういう気持ちだったの?』と聞くでしょう。『別に、何も感じてないよ』と返答されたら、『意識しないでそんなことができるなんて、すごいな!』と返すはずです」(須合先生)

親子の何気ない会話から、子どもの行いや優しさを言葉に乗せてあげると、自分の気持ちに気づいていきます。それはやがて、他人の気持ちをイメージする力につながっていきます。

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