大学受験でも役に立つ! 子どもの「要約力」を劇的に伸ばす5つの質問

AI時代を生き抜く!子どもに身につけさせたい「読解力」 #3

探究学習塾RAKUTO代表:福島 美智子

幼児向け:楽しみながらできる要約あそびのアイデア

第2回の「語彙力」を伸ばす方法でもお伝えしましたが、「要約力」を伸ばす時にも、楽しむことが重要です。ここでは、幼児向けにイラストやおもちゃを使って、遊びながら取り組める方法を紹介します。

たとえば、読んだ本の内容を紙芝居にしてみましょう。物語全体をいくつかの場面に分けて、それぞれの場面を自由に子どもに描いてもらいます。この方法で面白いのは、子どもが感銘を受けた場面がわかりやすいところ。悲しい場面の時はグレーで、楽しい場面の時は明るい色味のクレヨンで描いているなど、言葉はなくても、その子がどのようなポイントで心が動いたのかが伝わります。

また、おもちゃを使うのもいいですね。その子が好きな物語のワンシーンを、積み木や物を使って再現してもらいます。一場面だけではなく、物語全体のストーリーをごっこ遊びのようにして見せてくれたりも。おもちゃで遊ぶ感覚で、楽しみながら取り組めますよ。

『でんしゃでおでかけ』(作:ケッソク ヒデキ/福音館書店)を子どもがおもちゃで再現したもの。電車ごっこのように遊びながら見せてくれたそうです。  監修者提供

小学生向け:書くことでさらに要約力を高める

小学生は、会話での要約に慣れてきたら、もうワンステップ進みましょう。

方法は、板書の内容を子ども自身で要約し、それをノートに書いてもらうこと。授業で、黒板に書かれた内容を、ノートに書き写しますよね。そこからさらに要点だけを絞って、あらためてノートにまとめてもらうのです。

高学年になったら、物語文を読んで、あらすじをまとめる方法にトライしてみてください。ただ、物語の場合は、全体をまとめるのは大変ですから、最初は一場面に絞ってまとめてもらうようにしましょう。場面を選んだら、会話での練習で使った5つの項目「いつ」「誰が」「どこで」「誰と」「何をしたの」を書き出してもらいましょう。あらすじの要約に慣れてきたら、登場する人物の気持ちも一緒に書き出せるといいですね。他者の気持ちを感じとる練習にもなりますよ。

文章表現だけでなく、図解であらわす手法・マッピングもおすすめです。マッピングとは、1つの物事について、関連する言葉や気持ちを図解で書き出す手法のこと。まず、白紙の中央に本のタイトルを書いてもらいます。次に、右上から時計回りに、場面の数だけ引き出し線を書き、その場面のあらすじを書いてもらいましょう。場面ごとにイラストを描き添えてみるのもいいですね。

童話『赤とんぼ』(作:新美南吉)をマッピングしたもの。場面の内容を黒字で書いたら、その下に感情をあらわす一文を赤字で書きます。その後、そこから読み取れる登場人物の感情をオレンジで書いていきます。  監修者提供

このように図解にしてもらうことで、子どもは楽しく取り組めますし、物語の内容がスッと入りやすくなります。

ただし、ノートを使って要約する練習は、どうしても“作業”になりやすく、ただ順を追って書いているだけでは面白さを感じられなくなってしまうことも。親は、ノートを頻繁に見て、褒めてあげるようにしてください。

コツコツとした積み重ねが大事

「語彙力」においても、「要約力」においても、すぐに身につくわけではありません。しかしコツコツ練習していけば、必ず成長が見えてきます。そのためには、子どもが「読解力」の学習を嫌になってしまわないように、楽しみながら行うようにしましょう。

まずは、会話のなかで要約する方法や遊びを取り入れたアイデアで、無理なく始めてください。そして、子どもが興味を持ってきた段階でノートに書き写す方法に移ってくださいね。強制ではなく、子どもが自発的に「学びたい」と思えると、吸収がとても早くなりますよ。

取材・文:阿部雅美

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ふくしま みちこ

福島 美智子

Michiko Fukushima
探究学習塾RAKUTO代表

20年以上、脳科学・心理学をベースにした児童向け教材開発に携わる。ディスカッション(D)、マッピング(M)、速読(S)、高速リスニング(K)といった、オリジナルの教育メソッドDMSK法を開発。独自のカリキュラムにより、第一志望合格率90%以上、難関校へも多くの合格者を輩出している。著書に『最強の子育て』(すばる舎)、『AI時代の小学生が身につけておきたい一生モノの「読解力」』(実務教育出版)がある。

20年以上、脳科学・心理学をベースにした児童向け教材開発に携わる。ディスカッション(D)、マッピング(M)、速読(S)、高速リスニング(K)といった、オリジナルの教育メソッドDMSK法を開発。独自のカリキュラムにより、第一志望合格率90%以上、難関校へも多くの合格者を輩出している。著書に『最強の子育て』(すばる舎)、『AI時代の小学生が身につけておきたい一生モノの「読解力」』(実務教育出版)がある。

ふくしま まりえ

福島 万莉瑛

Marie Fukushima
株式会社らくと教務部コンテンツ開発課課長

慶應義塾大学文学部人文科学科を卒業後、オレゴン大学教育学部にて、小学生向けの教育学や課題解決型学習について専門的に学ぶ。現在は、株式会社らくとの英語コンテンツ制作、カリキュラム開発に携わる。著書に『AI時代の小学生が身につけておきたい一生モノの「読解力」』(実務教育出版)がある。

慶應義塾大学文学部人文科学科を卒業後、オレゴン大学教育学部にて、小学生向けの教育学や課題解決型学習について専門的に学ぶ。現在は、株式会社らくとの英語コンテンツ制作、カリキュラム開発に携わる。著書に『AI時代の小学生が身につけておきたい一生モノの「読解力」』(実務教育出版)がある。