現在の子どもたちが大人になるころには、今よりもさらに多くのことがAIによってできるようになっているでしょう。そんな時代だからこそ身につけたい、代表的な能力が「読解力」です。
第1回では「読解力」が、「語彙力」と「要約力」の2つの要素に分けられることを説明しました。
今回は「読解力」の2大要素のうち、「語彙力」の身につけ方を、アクティブラーニング型の探究学習塾RAKUTO代表の福島美智子さんと、同塾で教務部コンテンツ開発課課長を務める福島万莉瑛さんに教えてもらいました。(以下、お二人の話を再構成しました)
(全4回の2回目。#1を読む)
語彙力がないと気持ちが伝わらない?
「読解力」を構成する「語彙力」と「要約力」の2つの要素のうち、「語彙力」は多くの言葉を使える力で、「要約力」は考えをまとめる力です。
最初に「語彙力」がなぜ必要なのかを解説していきましょう。
相手が言っていることを理解したり、自分の気持ちをしっかりと伝えたりするためには、まず様々な言葉を知っていなければなりません。
最近どんなことに対しても「やばい」と言う人が増えていますよね。しかし、「やばい」のひと言では、良いのか悪いのか、もし良かったとして、具体的に何が良いのかがまったく伝わりません。
また、「ローコンテクスト」という言葉をご存知でしょうか? これは、文脈や背景ではなく、言葉そのものを重視して行われるコミュニケーションのこと。反対の言葉は「ハイコンテクスト」です。文脈や相手の状況、声のトーンなど、言葉以外の情報を重視して行われるコミュニケーションです。
第1回でも紹介したとおり、現在の文部科学省の教育方針は、「しっかりと自分の考えを伝えられる力の習得」に重点が置かれるようになってきています。
また、近年は、日常生活でもビジネスシーンでも、オンライン上でのチャットコミュニケーションが増えましたよね。テキストだけでやりとりする時には、的確な言葉を選ばないと、齟齬が生じる可能性があります。
社会背景もふまえると、今後ますます「ハイコンテクスト」=察するコミュニケーションは通用しなくなり、「ローコンテクスト」=明快かつシンプルなコミュニケーションが求められていくと考えられます。
そこでますます、「語彙力」の重要性が高まっているのです。