「つわりの乗り切り方」管理栄養士が「妊娠中は食べられるものを」と説く理由

管理栄養士・岩見真由美さん「妊娠中の食生活」で知っておきたいこと #2 妊娠の時期別・食事のポイントとつわりの乗り切り方

管理栄養士:岩見 真由美

妊娠初期 妊娠判明~13週

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個人差はありますが、妊娠2ヵ月ころからつわりの症状が出始めます。味覚に変化を感じる人も多く、この時期は食べられそうなものを食べられるときに、少しずつ口にするようにしましょう。

妊娠初期に必要な1日のエネルギー量は、妊娠前の「+50kcal」。妊娠前の推定エネルギー必要量に50kcal(例:みかん1個、りんご1/2個、6Pチーズ1個など)を足したものになります。

※推定エネルギー必要量…健康を維持するために必要なエネルギー量。基礎代謝基準値×参照体重×身体活動レベルで計算します。
18~29歳:2050kcal
30~49歳:2100kcal
(厚生労働省:日本人の食事摂取基準〔2020年版〕より

葉酸/食物繊維 初期に摂りたい栄養素2つ

妊娠初期は「葉酸」「食物繊維」を意識して摂るようにしましょう。

【葉酸】
葉酸は、おなかの赤ちゃんの発育をサポートする栄養素。ほうれん草やブロッコリー、モロヘイヤ、納豆、鶏レバーなどに多く含まれています。

【食物繊維】
妊娠中はホルモンなどの影響で便秘になりがち。食物繊維は、野菜やきのこ類、海藻類に多く含まれているのでたくさん摂るとよいでしょう。

妊娠初期のつわり 乗り切り方4つ

つわりの程度や期間は個人差が大きく、症状が気にならないほど軽い人もいれば、出産直前まで続く人もいます。

つわりの原因は不明ですが、妊娠中に増加するキサンツレン酸が、つわりを引き起こすといわれています。

キサンツレン酸の増加は、ビタミンB6不足が原因の一つであるため、つわりがつらい人は積極的にビタミンB6を摂るのがおすすめです。ビタミンB6はバナナやアボカド、鶏ささみなどに多く含まれています。

次につわりを乗り切るための4つのポイントをご紹介します。できるものがあれば試してみてください。でも決して無理はしないようにしてくださいね。

①喉ごしがいいものを食べる
ゼリーや寒天、ところてん、ゼリー飲料、卵豆腐、冷や奴など水分の多いものや、麺類など喉ごしのよいものはつわり中でも比較的食べやすいです。
海藻でできた寒天やところてんには、食物繊維が多く含まれているため、便秘の改善にも期待できます。

②常温または冷ましてから食べる
炊きたてのご飯のにおいが気になる人は、冷ましてから食べたり、汁物も、冷やし味噌汁や冷製スープにしたりすると食べやすくなります。

③酸味のあるものを選ぶ
レモンやオレンジ、グレープフルーツなどの柑橘類は、ビタミンCや水分が摂れます。野菜は酢の物にしたり、市販のもずく酢にきゅうりを足したりして一品料理にすれば、食物繊維も補えます。

④こまめに水分を補給する
つわりで食欲がわかなくても、脱水予防のために水分補給はこまめにするようにしましょう。水やお茶、スープ、水分の多い果物のほか、摂りすぎなければジュースなどでもかまいません。

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