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絵本作家・たしろちさとさんの絵本づくりに密着〔絵本づくりの舞台裏 大公開〕
#2 キャラクター作りは動きやシーンを大切に
2025.02.12
絵本作家・たしろちさとさんが、第2回アストラ国際絵本原作コンテストで講談社賞を受賞した作品「頭にのったタコ」(仮タイトル、ジェニー・ギヨーム/作)を絵本化する過程をレポートする連載2回目。
たしろちさとさんは、2003年『ぼくはカメレオン』で、英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語ほか世界7ヵ国語同時デビュー。日本絵本賞を受賞した『5ひきのすてきなねずみ ひっこしだいさくせん』(ほるぷ出版)をはじめ、『ぼく うまれるよ』(アリス館)、『クリスマスの おかいもの』(講談社)、『すずめくん どこで ごはん たべるの?』(福音館書店)ほかたくさんの著書がある絵本作家さんです。
今回は「キャラクター作り」について、うかがいました。絵本作家をめざす方、絵本が好きな方は必見です。
【関連リンク】
世界的な絵本の登竜門・アストラ国際絵本原作コンテスト「講談社賞」受賞者インタビュー
【受賞作:頭にのったタコ(原題Un poulpe sur la tête)】はこんなお話
ひとりの男の子が海水浴へ行って海にもぐったら、出てきたときには頭にタコがのっていた! タコは頭の上でどんどん大きくなり、男の子はタコを頭にのせて学校へ。先生に怒られたり、友だちに避けられたり、困ったことばかり……。でも、授業中タコのおかげで正解を答えられたり、いやなことをする友だちにスミをはいてくれたりして、男の子はだんだんタコに気持ちを寄せるようになっていく。タコはお風呂と本の読み聞かせが好きなんだ。そして、次の夏、主人公は海で……。
スケッチからキャラクターへ
──前回は、作品作りの最初がスケッチからというお話をうかがいました。今回はキャラクターを作る段階を教えていただきたいのですが、主人公の少年やタコはどんなふうに生まれていくのでしょうか?
たしろちさとさん(以下たしろさん):はじめに、スケッチしたものに動きをつけていきます。形より動きを優先します。最初は、メモ帳の端などにメモ描きのような絵を描いていき、絵を描いているうちに、だんだん「頭にのったタコ」のタコに近づいていくという感じです。
シーンからキャラクターが育っていく
──なにをしているときも、ちょこちょこメモを取るようにキャラクターを描いているのですね!
たしろさん:そうですね。電話をしながら、紙の端にメモ描きしたり、電車の中でも考えていたりします。キャラクターは、お話のシーンからイメージすることが多いです。お話の中で印象に残るシーンと一緒に、「ぼく」と「タコ」が生まれた感じです。
──なるほど……。たしかにお話の中のシーンがたくさん……。お医者さんに診てもらうシーンとか、絵本の読み聞かせシーンとか……。
たしろさん:キャラクターはその作品の中で生きているので、「ぼく」や「タコ」の形だけではなく、そのお話の中で考えるようにしています。半分「ぼく」になりきって考えているのだと思います。形も大事なのですが、各キャラクターの気持ちを考えながら形にするようにしています。
考えはじめのころは、お話と自分の距離が遠いけれど、メモ描きのようにイメージ画を描いたり、形を描いたりしながら、お話と自分との距離を縮めていくという感じです。キャラクターを考える作業は、登場人物を描くことでお話に近づいていく作業なのだと思います。
──スケッチをするときも、「作品に近づいていく」という表現をされていました。スケッチもキャラクター作りも、1つの作品の中に入っていき、世界観を作っていくということなのですね。
この「ぼく」や「タコ」のキャラクター、まだ目の描き方などいろいろな絵がありますが、これからさらに変化していくのかもしれません。できあがりが楽しみです!
大変参考になるお話をありがとうございました。
次は、絵本の構成について取材させていただく予定です。お楽しみに。
たしろちさとさんの絵本
絵本作家をめざす方へ
講談社では毎年「講談社絵本新人賞」を実施しています。絵本作家をめざす多くの方のご応募をお待ちしています。
「アストラ国際絵本原作コンテスト」については、こちらをご覧ください。
たしろ ちさと
東京都生まれ。大学で経済学を学んだ後、4年間の会社勤めを経て、絵本の制作を始める。『ぼくはカメレオン』で世界7ヵ国語同時デビュー。おもな著書に、日本絵本賞を受賞した『5ひきのすてきなねずみ ひっこしだいさくせん』(ほるぷ出版)『クリスマスの おかいもの』(講談社)『すずめくん どこで ごはん たべるの?』(福音館書店)『くんくん、いいにおい』(グランまま社)『ぼく うまれるよ』(アリス館)ほか多数。
東京都生まれ。大学で経済学を学んだ後、4年間の会社勤めを経て、絵本の制作を始める。『ぼくはカメレオン』で世界7ヵ国語同時デビュー。おもな著書に、日本絵本賞を受賞した『5ひきのすてきなねずみ ひっこしだいさくせん』(ほるぷ出版)『クリスマスの おかいもの』(講談社)『すずめくん どこで ごはん たべるの?』(福音館書店)『くんくん、いいにおい』(グランまま社)『ぼく うまれるよ』(アリス館)ほか多数。