『第1回 読者と選ぶ あたらしい絵本大賞』特別審査員・横山だいすけさんインタビュー「絵本は人生に必要なもの」
11代目うたのおにいさんが気づいた、絵本と歌の共通点
2025.01.15
横山 決まっていません。むしろ同じ絵本を、日によってお母さんが読むこともあれば、お父さんが読むこともあります。
──バリエーションを楽しんでいるんですね!
横山 本当に、楽しんでいますね。僕の母も絵本が大好きで、自分で「絵本の会」を開催するくらい。妻の両親も絵本が好きで、どちらの実家に行っても山のように絵本があります。
大人になってから気づいた、絵本は人生に必要なもの
──横山さんは、2021年3月から、雑誌「kodomoe」で「だいすけお兄さんのパパシュギョー!」という連載を持ち、子どもに関する仕事をしている方とたくさん対談されていましたよね。そんな横山さんにとって「絵本」はどんな存在ですか?
横山 子どものころから身近にあったもの。親が寝る前に読んでくれる楽しい時間。それが「絵本」という存在ですね。大人になって「歌のお兄さん」として絵本と再会したときに、「絵本ってこんなにおもしろいんだ」、「絵本ってこんなにいろいろな世界に連れていってくれるんだ」と感動したんですね。
さらに親になってからは、絵本の多さにびっくりしました。本当に、絵本は読めば読むほどいろいろな発見があるし、いろんなことを教えてくれる。人生において、絵本は本当に必要なものだと、改めて感じましたね。
親が子どもに絵本を読み聞かせしてあげることはとても大事なことだから、たくさん読んであげたいと思っています。きっと、多くの親御さんがそう感じたことがあるんじゃないのかなと。絵本をテーマ別に調べると、本当にたくさんの作品が出てくるんですよね。
──例えば、どんなテーマの本を探しましたか?
横山 子どもが成長過程で「ごめんなさい」が素直に言えない時期がありますよね。本当にダメなことをした場合、親はどんなふうに子どもに関わるとよいのかとか、自分の言葉でどんなふうに伝えたらいいか正解がわからないときに、絵本に助けを求めます。
子どもに絵本を読み聞かせていると、親のほうが「そうか、これでいいんだ」と教えてもらえるんですよね。子どもに大人の意見を押しつけるのではなく、子どもに寄り添って理解できる内容の作品もあり、絵本から教えてもらうことは本当にたくさんあるんだなと実感しました。
──ときには絵本のほうが、親や大人が言うことよりも子どもの心に刺さることがありますよね。絵本を読むと、子どもなりになにかを感じ、吸い取ってくれる。そして親も親で感動したり。
横山 それが、本当に素敵なことだなと思います。親は子どもに対する責任感があるので、直接伝えようとすると怒ってしまうことも。でも絵本を通すと、𠮟る言葉が素敵なフレーズに変わって、優しい温かい気持ちで包んでくれる。子どもだけじゃなくて、親も丸ごと包んでくれるような気がして……。絵本の存在に助けられていますね。
絵本を読んだときはわからなくても、子どもが困りごとを克服できている姿に気づいたときに、「あの絵本がキッカケかな」と感じることはすごくあります。
──読んだ絵本が、仕事に影響することはありますか?