一同は顔を見合わせた。
昨夜は確かに真正面を向いていたこけしが、そろって左を向いている。こけしの胴体に描かれた着物は前を向いているから、首だけ「左向け左」をしたかっこうだ。
マッキー
「じつは夜中にキイキイって変な音がしててさ。」
磯崎
「心霊現象的な……いわゆるラップ音ですかね?」
磯崎さんがマジメな顔で言う。
マッキー
「で、下を見たらさ、なんか座りこんでたんだよ。座敷わらしだと思うんだ。」
キリさん
「座敷わらしって、家に福をもたらすいい妖怪じゃなかったっけ?」
冷静に言うキリさんをマッキーはにらみつける。
マッキー
「いいか悪いか知らないけど、部屋に座敷わらしがいたらこわいだろうがっ! ヤバいと思って目をつぶってムリヤリ寝たんだよ。」
磯崎さんは部屋に入ってしゃがみこむと、神妙な顔でこけしをながめた。
磯崎
「こけしの語源は『子消し』で、死んだ子どもの代わりに作られたとかいうしね。これ、ぼくが預かりましょうか? 知り合いのお寺で、おはらいや人形供養をやってるんですよ。」
越川
「磯崎さん、お願いできたら助かります! 宿泊代はサービスしますんで!」
キリさん
「ちょっと待って。オカルトのせいにするのは、よく調べてからにしましょうよ。」
【Q】
こけしの異変の理由はなんだろうか?