23年中学受験は「ヤングケアラー」が出る 受験塾教室長が子どもを読書好きにする質問に回答

受験塾教室長がコッソリ教える、本好きな子どもの育て方

大手進学塾 現役教室長:akira

本好きな子どもに育てたい人必見です! 
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「本好きな子どもに育ったらなあ……」

そう願ったことはありませんか? 本を読めば、国語の学力が上がる、語彙が増えるなど、良いことがたくさんあると思います。さらに、国語は暗記科目と異なり、すぐに点数を伸ばすのは難しいので、国語をマスターすることができれば、中学受験でも有利になりそうです。

しかし、読書を強制しても本好きな子に育つわけではありません。おたがいにツラいのは避けたいですよね。

そんなみなさんに朗報です!

首都圏中学受験塾の教室長歴15年目、受験について解説するYouTubeチャンネルの登録者数1万1000人を突破しているakiraさんが、「本好きな子どもの育て方」をコッソリ、伝授します!

教室長がよく聞かれる読書の質問10選!

首都圏中学受験塾の教室長をしています。akiraと申します。

国語と読書については前回の記事でも述べましたが、今回はより具体的な10の質問にお答えする形ですすめていきます。中にはきっと皆さんも聞きたかった質問があるはずです。

Q1.低学年の場合、どんな本を選んであげればいいのでしょうか?

A1.『小学生のための読解力をつける魔法の本棚』巻末のブックリストを参考に、名作を読んでみましょう

私が大好きな作家の一人、森博嗣さんの著書『 読書の価値』では、「本はすすめられて読むものではない。(p.79より)」、「本選びは、結局は、人選びであり、つまりは、友達を選ぶ感覚に近いものだと思える。(p.76より)」と記されています。

たしかに一理ありますが、一方で元外務省主任分析官の佐藤優さんの著書『読書の技法』の中では、「最初に読書の面白さを教えてくれたのは、中学1年生から通い始めた学習塾の国語の先生だった。(中略)生徒に小説を読むことをすすめてくれた。(p.32より)」とあります。

佐藤さんの体験談は同じ塾で教える立場として心強いです。私自身は、めちゃくちゃ本をすすめるタイプだからです。教室通信にして長期休みの前に配付したり、SNSでつぶやいたりしています。ちょっとしたきっかけかもしれませんが、面白い本に出合う手助けができたらと思っています。

読書について質問されたときに第一におすすめする本が、麻布中学の国語の先生(中島克治さん)が書かれた『小学生のための読解力をつける魔法の本棚』です(こちらは親御さん向けです)。読書の効能について書かれた部分も、もちろん役に立つのですが、いちばんのおすすめは巻末のブックリストです。低・中学年向けと高学年向けに分けられていて全部で170冊もあります。その中にはきっと親御さんも読んだことのある名作が並んでいます。

私の塾では小学3年生の最初に『若草物語』を勉強します(『若草物語』もこのリストにあります)。講談社の青い鳥文庫は名作がそろっているのでおすすめです。親子でぜひ読んでみましょう。

低学年からチャレンジできる本はたくさんありますが、一つおすすめするなら『赤毛のアン』です。たいへん読みごたえがあります。私の友人は『赤毛のアン』が好きすぎて舞台である、カナダのプリンスエドワード島まで行ったと言っていました。それくらいファンもいる本なので間違いないです。NHK朝の連続ドラマ「花子とアン」でも話題になりました。

『赤毛のアン(新装版)』

低学年向けの講談社青い鳥文庫おすすめリスト(『小学生のための読解力をつける魔法の本棚』より)

『青い鳥』『赤毛のアン』『あしながおじさん』『宇宙戦争』『海底2万マイル』『銀河鉄道の夜』『くもの糸・杜子春』『西遊記』『三国志』『二十四の瞳』『フランダースの犬』『星の王子さま』『若草物語』など

Q2.テキストやテストに出題された本を読むべきですか?

A2.親子で会話をし、子どもが興味を示しているようであれば、出典本にあたってみましょう

塾に通っている人であれば、国語の授業やテストで物語文に触れることが多いでしょう。その中で続きが気になる、これは面白い、という本に出合えたときにはぜひ、テキスト(模試など)の、文章の最後に載っている出典本にあたって続きを読んでみましょう。本好きになるきっかけになるかもしれません。

私の教室の生徒の例を紹介します。入試問題に出題された辻村深月さんの『サクラ咲く』がきっかけで辻村さんの小説にはまり、そこから辻村さんの作品を読み始め、いまいちばん好きな本は『かがみの孤城』と言っていました。このようにテキストやテストから生涯の愛読書と出合うこともあるので面白いですよね。好きな作者に出会ったらその作者の作品を読み進めるのも読書のコツです。私は学生時代に司馬遼太郎さんの作品に出合い、食い入るように読むうちに何度も電車を乗り過ごしました(笑)。面白すぎる本を電車で読むときは注意が必要です。

高学年の人はこちらの記事も参考にしてください。

Q3.なかなか本の内容が頭に残りません。どんな工夫をすればいいでしょうか?

A3-1.人に本をすすめてみましょう

本を読むことはいわゆるインプットですが、勉強同様、自分の身になるのはアウトプットのことが多いです。そこで自分が読んだ本を人にすすめてみましょう。

私の教室では、5年生の一部のクラスで国語の授業中に持ち回りで、自分が読んだ本をプレゼンする時間を設けています。それがきっかけで本をたくさん読むようになったり、人に説明するためにじっくり読むようになったりといいことが多いです。

まずは、親子で読んでみて、印象を話し合ったり、プレゼンをしたり、自由研究のように自分の読んだ本のレビューをまとめてみることも面白いです。手軽なのがアマゾンのレビューに投稿することです。自分一人では難しいかもしれませんが、親御さんに手伝ってもらって人に本をすすめてみましょう。

A3-2.メモを取りながら読んでみましょう

これは私自身の経験からなのですが、主に論説文のときにメモを取りながら本を読むことがあります。(2周目以降のことが多いです)印象的な文をメモして、自分の感想を添えておきます。こちらもある程度たまったら教室通信にして配付しています。私なりのアウトプットの機会なので自分にとってもためになります。ときどきこのメモを見返すことも勉強になります。

私の愛読書『保健室経由、かねやま本館。』を例にとれば、温泉の効能や色をメモしながら読んでみてはどうでしょうか。それだけでも読書がとても楽しくなります。私が一番好きな温泉は1巻の「受容」の温泉です。自分を受け入れることの大切さを再認識させられました。ちなみに5巻の表紙の裏側にこの効能のリストがあるのでファンの方は必見です。個人的には次回はまかないのメニュー一覧をリクエストします。でもやっぱり塩おにぎりと水のようなシンプルなメニューが一番おいしいのかもしれませんね。

かねやま本館のお湯と効能。今まで作品に出てきたお湯の名前が、せいぞろい! みなさんはどのお湯が好きですか?
『保健室経由、かねやま本館。』シリーズは、悩んでいる中学生が呼ばれる中学生専門の湯治場(温泉)を舞台にした人気シリーズです。現在5巻まで、発売しています。

Q4.なかなか最後まで本を1冊読み切れません。どんな工夫をすれば?

A4.付箋を利用しましょう

『保健室経由、かねやま本館。』のようなハードカバーの本であれば、しおりのようなひも(スピンというそうです)がありますが、ソフトカバーの本にはスピンがない場合もあり、どこまで読んだかわからなくなってしまうことがあります。そこで私はしおりがわりに付箋を利用しています。付箋だとそのページだけでなく行まで指定できるので、次に読み進める際にしおりよりも便利です。ちょっとしたコツですが毎日読むとなるとそのストレスはけっこうな量になりますので、この方法をおすすめします。

新書版の論説文などは、章立てになっていることが多いので章ごとに読んでみてはどうでしょうか。だいたい5章から7章ぐらいのことが多いので、この計算でいくと1日1章ずつ読めば1週間で1冊読み切れます。細切れにすると意外に読めるものです。読み始める章の最初と最後に付箋をつけておくと読む量も体感できて読み切れるようになります。  慣れてきたら、少しずつ読む量を増やしていくとよいでしょう。

私が最近読んだ新書版の論説文は『勉強する気はなぜ起こらないのか』です。タイトルを見て気になった方は、この1章ずつ読む方法で読んでみてください。

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