
国民的大ベストセラー「あらしのよるに」を再読して思春期の娘・中2女子に母が思ったこと
シリーズ最新作『あいことばはあらしのよるに』刊行記念 エニママレビュー・はなさん
2025.05.01

『あらしのよるに』シリーズは、まっくらな嵐の夜に出会った、オオカミのガブとヤギのメイが、お互いの正体を知らず友だちになり、「食うもの」と「食われるもの」という関係に葛藤しながら、友情を深めていくストーリー。全7巻380万部の国民的ベストセラーで、この度、20年ぶりの新刊が刊行され、発売後即重版がかかるなど、話題になっています。

「あらしのよるに」シリーズを読んだAnyMama編集部のママ、はなさんからのレビューをご紹介します。
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【エニママ】https://anymama.jp/
「オオカミとヤギの話」ではなく「ガブとメイの話」
子どもたちが幼いころ、何度も読み聞かせをした『あらしのよるに』。
中学2年生と小学5年生の娘に「『あらしのよるに』の話、覚えている?」と尋ねてみました。
中学2年生の娘は「あぁ、ガブとメイのお話だよね?」と。
その言葉にハッとしました。
「オオカミとヤギの話」ではなく、「ガブとメイの話」として覚えていたことに胸が熱くなったのです。この物語が、種族や立場を超えた友情として子どもたちの心に刻まれていることを実感しました。
久しぶりに完全版を手に取った娘。
印象に残っているシーンを尋ねると「メイが仲間に責められるところが悲しい」とのことでした。

親友を選ぶのか、群れを選ぶのか。
ガブではなく、無意識にメイに感情移入しているというのも彼女の性格らしく、自分なりにこの本を味わっているのでしょう。
中学2年生の娘は、友人関係で悩むこともあります。「自分の気持ちをどう伝えるか」「相手との距離感をどう保つか」など、思春期特有の葛藤があるように見えます。友人たちとの関係性について悩んだときにまたこの本を開いてくれたらうれしいです。
思春期は、自分自身や人間関係について悩む時期ですが、この絵本はそのような葛藤へのヒントを与えてくれるように思います。友情の物語にとどまらず、「相手を思いやる気持ち」や「自分自身と向き合う勇気」を教えてくれると感じました。
親子で味わう「ガブとメイ」のやりとりの面白さ
小学5年生の娘は『あるはれたひに』が大好き。ガブがメイを前に「おいしそう……いやいや友だちなんだ!」と葛藤しているところ、お腹をグーグーいわせているところがお気に入りです。

娘が読んでくれるガブの台詞は感情が入っていて、まるでメイに恋愛感情が芽生えているかのようにも思えてきます。
もう読み聞かせをすることはありませんが、あらためて子どもたちと読み返して「ガブとメイのやり取りの面白さ」「自分とは異なる存在との向き合いかた」について話す時間を持てたことは有意義でした。
本能と友情、人間関係や自己成長について考えるきっかけをくれます。子どもが成長して、親子ともに視点や感じかたが変わっても、新たな発見や対話が生まれる素晴らしい一冊だと感じました。
新作「あいことばはあらしのよるに」刊行
「あらしのよるに」は種を超えた「友情」を描いた大人気シリーズ、新シリーズはさらに種を超えた「家族の絆」を描きます。いまの時代にこそ読んでほしい新シリーズ第1巻が刊行。

仲良しな2人なのに、実はおたがい隠している秘密が!? 疑いあってしまう2人の友情と新たな命の行方が気になる第1巻。ヤギとオオカミの壁を越えた友情から家族の物語へ……待望の新シリーズがスタート!
「あらしのよるに」シリーズ全7巻はこちら
