「褒めて育てる」はホントに正解? 「ある褒められ方」で優秀な子までダメになる衝撃の事実

中野信子「新版 空気を読む脳」#1 心理実験で教える褒め方

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「なぜ、相手や周りの気持ちがわかりすぎる人ほど生きづらいの?」──。

職場で学校で「空気」という暗黙のルールの中で生きる私たち。『新版 空気を読む脳』は、中野信子さんが日本人の心性と強みを、脳科学・遺伝学・行動科学で初めてひもとき、多くの共感を呼んだ大ベストセラーの新版です。

そのなかから子どもの成長に役立つ「失敗を恐れる脳─日本人はなぜ『挑戦』しなくなったのか」をご紹介。子どもたちを「頭がいいね」「努力してえらいね」「何も言わない」に分けて実験を行った結果、はたして一番挑戦しなくなった子は……?

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『新版 空気を読む脳』(講談社+α新書) 著:中野信子

「褒めて育てる」は正しいか?

日本人について、慎重で思慮深く、真面目で、無謀な挑戦をしない、という類型が語られることがあります。私もそのように語ってきたという自覚があります。

ただ、こうした性質は生まれつきのものであると同時に、ある程度は後天的に影響を与える要素があることが知られてもいます。

たとえば、子育てについて書かれた本などには、「褒めて育てる」「子どもに自信をつけさせるにはとにかく褒めて、それがその子どもの成功を約束する」というような内容が必ずと言っていいほど載っているでしょう。

もしかしたら、少し年齢が上の世代になると「厳しく躾けることが重要」という考え方をもとに教育された方もいらっしゃるかもしれませんが、最近の教育の基本方針は、そうした厳しい教育とはまったく逆の方向に行っているようです。

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近年刊行されたものを見渡せば、数点、逆張りのような論調のものが見られるほかは、ほとんどが褒めることをベースにした主張の書籍でしょう。

特にここ数年はテレビでもインターネットでも、「子どもにネガティブなことを言ってはいけない、何も言わないことで無意識的にネガティブなメッセージを送るのもいけない、𠮟ったり無視したりせずにポジティブなメッセージを送ろう、子どもを𠮟ることよりも褒めることのほうがずっと大事だ……」という主旨のコメントが、あたかも性差別や人種差別などの偏見を含まないポリティカリーコレクト並みの扱いをされます。

年々「子どもには罰よりも報酬を与えることが基本かつ重要」という考え方が正しいとみなされる空気が醸成されてきていると感じる人がほとんどではないかと思います。

たとえば、子どもがテストで良い点をとって帰ってきたら「本当に頭がいいね」と褒める、絵画で賞をとったら「芸術の才能があるね」と褒める、スポーツで結果を出したら「運動能力が抜群ね」と褒める……。このやり方は、一見正しいように思えます。

たしかに、いつも「いい子だね」と伝えて育てることで、自信に満ちあふれた幸せな子どもに育ちそうな気がするでしょう。実際、そういう教育を実践している人も多いでしょうし、意識的にそうしようと考えてはいなくとも、なんとなくそういう方向が正しいと感じて無意識的にそうしてしまっている、という人が少なくないのではないかと思います。

でも、このやり方に「一度も違和感を持ったことがない」という方は、意外と少数派なのではないでしょうか? たまにはお小言を言ったほうがいいんじゃないの……? 本当にいつも手放しで褒めてばかりでいいの……? あとになって「本当は褒めるだけの教育はダメでした」っていうことがわかったらどうしたらいいの……?

難しい課題を避ける褒められた子

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