2022年9月1日に公開される映画『さかなのこ』。さかなクンの自伝的エッセイ『さかなクンの一魚一会~ まいにち夢中な人生!~』(講談社)をもとに、子どものころからお魚が大好きだったさかなクンの半生を、映画ならではのフィクションを交えながらユーモアたっぷりに描いた物語です。
実は、さかなクンが“さかなクン”として有名になるまでのヒストリーには、子育てや人生のヒントがいっぱい!
第2回は、大人になったさかなクンが道に迷いながらも、お魚への“好き”を貫く姿勢から、4歳児のママライターが生き方のヒント、子どもの見守り方のヒントを探ります。
子どもはもちろん、親にも読んでほしい、さかなクンの描き下ろし絵本もチェック!
「ふつうって何?」人生はそう甘くない
高校卒業を迎え、進路の選択を迫られたミー坊(のん)。「お魚博士になりたい」という夢はあるものの、成績の悪いミー坊に大学進学の選択肢はありませんでした。
“広い海に出てごらんなさい”(『さかなのこ』より)
お母さん(井川遥)に背中を押され、ミー坊はひとり暮らしを始めます。水族館やすし屋など、お魚にまつわる仕事に就くものの、「ふつう」のことができずに失敗ばかり。理想と現実のギャップに悩んでしまうのです。
“どこに行っても思ってたのと違う”
“「ふつう」って何? ミー坊はよくわからないよ”(『さかなのこ』より)
原作では、ようやく慣れてきた熱帯魚屋をやめようと、さかなクンがお母さんに電話で相談したときのエピソードが綴られています。「自分の生きる道は、違う気がする」と胸の内を明かすと、お母さんは言いました。
“そう思うなら、そうしたらいいよ。一度しかない人生なんだもの。自分の決めたことがいちばんよ”(『さかなクンの一魚一会』より)
さかなクンは、続けてこう語っています。
“このとき、親戚やまわりの大人たちから「なぜ定職につかせないのか。」「ちょっと甘いんじゃないのか。」と、母はいろいろ言われていたようです。けれど母は、自分にはそんなことは、なにひとつ言いませんでした。ただひたすら、信じて応援してくれていたのでした”(『さかなクンの一魚一会』より)
子どもが挫折する姿を見るのは、親としてつらいもの。心配性の私なら「こうしたら?」「ああしたら?」「辞めるなんてもったいないよ~!」なんて、アドバイスのつもりで口を出してしまいそうですが、お母さんは一切何も言いません。
ただ、だまって応援する。
それは、子どもを信じるという、強い思いの表れでもあります。
子どもが自分で選択して、たとえ失敗しても、そこから学ぶものがあればいい。ミー坊が子どものころからブレないお母さんの姿勢、私も決して忘れず見習いたいところです。