子どもに「お金って何?」と聞かれたら大人は何と答える? 専門家が〔子どもを守る「情報リテラシー」の高め方〕を解説
「世界子どもの日」に「子どもの権利条約」を考える#3 コンプライアンスアドバイザー が子どもをデジタルタトゥーなどから守る「情報リテラシーの高め方」を解説
2024.11.19
テレビをはじめ、スマホなどの端末を通して、世の中にはあらゆる商品の情報や広告が溢れています。
端末に紐づくターゲティング広告、SNSのインフィード広告や、投稿との見分けがつきにくいインフルエンサー広告、ゲームアプリの中に出てくる広告など、多種多様の情報が存在します。
広告は「商品やサービスの魅力を正しく伝え、購買のための情報を提供する」という経済の上で必要不可欠なメッセージです。しかし、社会性も未熟で判断力が十分育まれていない子どもたちへの影響を無視することはできません。そういった子どもの特質を逆手にとったマーケティング手法や表現も少なくないからです。
親子で「お金の価値やルール」を知る・話すことは、子どもをトラブルから避ける手助けとなります。
本稿では、11月20日の「世界子どもの日World Children’s Day」を前に、長年テレビ局で番組制作に携わってきたコンプライアンスアドバイザー・山本一宗氏が、これからの時代を生きていく子どもたちに知っておいてほしい「お金にまつわる知識」をはじめ、「世の中の決まりごと」について解説します。
この記事は『子どもコンプライアンス』(ワニブックス刊)から一部抜粋・再編集したものです。小学校低学年から学びながら読めるように想定した文章を大人用に改訂しお届けします。
山本一宗
1964年兵庫県神戸市出身。
1988年に讀賣テレビ放送(株)入社。報道記者として神戸連続児童殺傷事件、和歌山毒物カレー事件や金融機関再編などの取材を経験し、その後「THE ワイド」「情報ライブ ミヤネ屋」プロデューサー、「ウェークアップ!ぷらす」チーフプロデューサー、報道局統括デスクなどを歴任。
2019年より放送基準に基づく番組・CMの表現考査、 SNS利用指針作成などに従事。2021年よりコンプライアンス総括責任者(総括役) として社全体の危機管理・考査判断を担当。2023年3月まで讀賣テレビ放送(株)ESG推進局専任局次長。2023年春に読売テレビを退社し、現在は株式会社CompLabo代表取締役を務める。
(全4回の3回目。)
第3回は、大きなトラブルにつながる可能性もある「子どもと考えるお金の価値・ルール」について、ご紹介します。
Q.お金っていったい何だろう?
お金ってどうしてみんな「大事」にするの? そもそもお金ってなに?
【A. お金は「価値」を数字で表す、交換できる、置いておけるもの】
もともとお札はただの「紙」だし、硬貨は「金属」ですよね。
では、どうしてみんなお金が大切でどこでも使えると考えるのでしょうか。
それは、国がそのお金の「価値」を決め、その「価値」がなくならないと責任を持ってくれているから。
だから「1000円札」は1000円のものやサービスと交換できるのです。
あなたがメモに「1000円」と書いてもだれも1000円のものと交換してくれないですよね。みんながお札という紙に「価値」があると考えるのは、日本という国に信用があるからなのです。
買い物をすることは「お金」をお店にわたして、同じ価値の商品・サービスと「交換」していることになります。1000円札に1000円の価値があると国が責任を持っているから、またそのお金を別のところで使えるのです。
お金とは、その「価値」を数字に表した紙や金属であり、持ち運んだり手もとに置いておきやすい「便利」なものなのです。そして、その「価値」が分かりやすく比べられるように、ものやサービスには値段がつけられています。
おもちゃやゲームなど「もの」がほしいときには「値段」をみて、そのぶんのお金が必要だと考えます。つまりお金は、ものの値打ちをはかる「ものさし」にも なるのです。