未就学児のママパパを無料で支援 「孤育て」を防ぐ地域密着型子育て支援の実態

家庭訪問型子育て支援「ホームスタート」#1~英国発無料子育てボランティアとは~

ライター:稲葉 美映子

目指すのは“ご近所同士の支え合い”のような支援

現在、ホームスタートを実施しているのは全国31都道府県で117ヵ所。気になる方は、お住まいの地域に活動拠点があるか、ホームスタート・ジャパンのウエブサイトでチェックしてみましょう。申し込みは、電話かメールなどでできます。「すぐに折り返しご連絡しますよ!」と森田さん。

仕事の関係ではなく、横並びの伴走者として支え合えるのが、無償ボランティアの良さでもあります。「もともとご近所の支え合いって、お金は発生しないでしょう。ホームスタートは少し人工的ではありますが、目指しているのはそこなんです」(山田さん)

家族でもない、友人でもない、“地域のイチおばちゃん”的な存在だからこそ、素直に自分の気持ちを話せたり、不安なときに「大丈夫、私のときもそうだったわよ」などと言われて少し安心できたり。

一緒に大変さや喜びを分かち合う時間が、ママパパにとって、ときに大きな力になる。これこそが、「当事者性」と、地域のボランティアという「素人性」を活かしたホームスタートならではの魅力だと言えるでしょう。

次回は、実際、どんなママやパパが利用し、どのような支援が行われているのか、現場のエピソードをご紹介します。

●子育てアドバイザー・高祖常子さんから

子育ては本来、地域の方々やママ友などとサポートし合いながらするのが理想です。

しかし今は共働きが増えて産後すぐに職場復帰する方も多く、さらにはコロナ禍による影響で、ご近所付き合いや地域活動に十分な時間をさくことが難しい傾向にあります。地域に知り合いが作りづらいんですね。

ホームスタートは、地域のボランティアであるホームビジターとの出会いをはじめ、ときにはいっしょに公園や子育て広場に出かけるなどの支援を通して、地域とのつながりをつくるきっかけにもなります。無料ですから、経済的に不安がある方も気軽に利用できるのもうれしいですね。

また、「いっしょに」という視点もとても重要ですね。困りごとがあるママパパに「こうやるといいですよ」とただ教えたり、代わりにやるのではなく、支援者が横に立って話を聞きながら「こういう方法もあるよ」といっしょに取り組みながらエンパワメントしていく。

ホームビジターが子どもと関わる様子を見ながら、ママパパは「こうしたらいいんだ」と自分で気がつくことができます。ここが大切なんです。一時預かりや家事代行では、根本的な困りごとが解決できないことも多い。あくまでも「親を主体とした支援」こそが、本来の子育て支援で一番必要といえるでしょう。

高祖常子PROFILE
子育てアドバイザー・キャリアコンサルタント。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。国や行政の子どもに関連する委員を歴任し、子育てと働き方などを中心とした編集・執筆ほか、全国で講演を行う。第9回渡邉辰五郎奨励賞受賞。

取材協力/
・ホームスタート
乳幼児がいる家庭に、研修を受けた地域の子育て経験者が、定期的に無償で訪問し、傾聴(親の気持ちを受け止めて話を聴くこと)と、協働(親と一緒に家事や育児、外出などをすること)をする家庭訪問型子育て支援ボランティアのしくみ。イギリスで1973年に始まり、世界22ヵ国、日本でも31都道府県117地域にひろがっている。

関連サイト/
ホームスタートオフィシャルHP

取材・文/稲葉美映子

23 件
こうそ ときこ

高祖 常子

子育てアドバイザー・キャリアコンサルタント

リクルートで学校・企業情報誌の編集にたずさわったのち、2005年に育児情報誌miku編集長に就任し14年間活躍。Yahoo!ニュース公...

いなば みおこ

稲葉 美映子

ライター

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息...