「学校に行きたくない!」子どもがつぶやいたとき、知っておきたいこと

「もう空気は読まなくていい」空気を読むより大事な一生モノのスキルって?

「空気を読む」よりも大事なマインドが一生を楽しくする

Q:大人の世界でも空気を読んで、みんな同じになるように努力する感じがたしかにあります。同じ空気を壊したらまずい……というか。
違いをどう乗り越えたらいいのでしょうか?


学校で教えて欲しいのは、どんな相手ともフラットな人間関係を築くマインドです。私たちはお互いに、様々な違いを抱えています。

国籍や人種・言語、肌の色や宗教観の違いと言われるとあまり馴染みがないかも知れませんが、日本人同士であっても趣味や価値観は多様化しています。

考え方や行動など相手を理解できないことがありますよね。理解できないことで苦手感を持つこともあります。

「理解できない」「自分ならそうしないのに」といった「違和感」がいじめ、排除、その他さまざまなトラブルの原因になり得ます。

中でも特に相手が貧困、障がい、外国ルーツのような比較的わかりやすい違いを抱えていると、その違いがフラットな人間関係をさまたげることになりがちです。

オリンピックをめぐる「違う」相手の人権に対しての様々な発言、行動が、「どうなのか?」とかなり報道されましたよね。

この違いを乗り越えるためには、
①    相手を知ること
②    自分がかかえる相手との違いをきちんと理解してもらう

の2点が必要なんです。

「違うものを排除したい」という誘惑を克服させることは、学校の存在意義そのものです。


Q:違いが存在すること……そのものを知らないケースも多いです。「空気を読むのは常識」と思っている人も多いですし……。
子どもたちに「違いを知る」とこんなにいいことあるよ!ということがあったら教えていただけますか?


今、世界はグローバリゼーションに向かって、働き方も大きく変革しています。

製品をいかに早く正確に作れるかというメーカーの時代から、アイディアや発明で世界を変えるイノベーションの時代になっています。

人とチームを組み、常にアップデートし続けるためには、異なる視点の人たちと協働し、自分ひとりでは実現できなかった成果にたどりつく必要があります。

もちろん、自分の意見や立場が少数派だったとしても、その意見が丁寧に尊重される社会であれば、その意見が社会全体にとって有意義なアイディアの案出に結び付いていくでしょう。日本人同士の「空気を読む」の対極かもしれませんね!

外国ルーツの子どもたちもどんどん増えています。また世界のトップ企業の多くが多国籍化しています。

違いを認めるマインドを磨けば、日本人1億5千万人だけでなく、世界70億人と知り合えるチャンスが増えるかもしれません。

人間関係の「苦労」とは違う「苦しさ」は背負わなくていい。当たり前の大前提とは?

Q:今度、山崎さんが9月1日問題含め、こうした人間関係の常識リセットについてお話しされるイベントがあるとうかがいました。イベントの詳細を教えていただけますか?

丸善ジュンク堂書店でオンラインイベントを開催します。直接、どんどん今の悩みをチャットで質問してもらいたいと思っています。

友だちのこと、人づきあいのこと、また親世代であれば、子どものことで知っておきたいこと……など、今自分が感じていることを、話し、質問を受けたいな……と思っています。

オンラインでこうしたやりとりを日本どこからでもできることからも、まさに大きな変化の中にいることを感じます。

<開催日時>
2021年8月28日(土)
19:30~(1時間程度)  
詳しくは→

https://online.maruzenjunkudo.co.jp/collections/j70019-210828


Q:直接山崎さんとやりとりできるなんてすごいですね! こうした人間関係への考えをまとめた新しい「人づきあいの副読本」になる新刊も発売になりました。メッセージをいただけますか?

自分の主張や思いをきちんと相手に伝えて理解してもらう力。場合によっては説得する力。

そして相手の主張や思いをきちんと理解し、自分の考えとの違いを理解し、落としどころを丁寧に探っていく力。

こうした力こそ、これから生きる上で、「空気を読む」よりずっと役に立つ力になると思います。

自分自身、人の違いにロマンを感じることもたくさんあります。「違うってなんだろう?」「違うってすてきかも?」と本を読んで感じていただけるとうれしいです。


『まっすぐ人間関係術』

(著/山崎聡一郎 監修/藤川大祐 イラスト&まんが/茅なや)

SDGs『だれひとり取り残さない』ために、どんなふうに「人の違い」を理解すればいい? いじめや同調圧力から、LGBTQ+や貧困、外国人ルーツのクラスメイトなど、今の統計から、「違う人同士が理解し合うためにはどうしたらいいんだろう?」が具体的に見えてきます。

「いじめといじり、何が違うの?」「勉強が苦しい」「友だちと合わせるのが大変」「どうやったら合わない人と理解し合える?」など、ふと人間関係に悩んだときに、気持ちがラクになるファクトがいっぱい。

自分と、他の人の個性を認めて、世界で生きる自信がわいてきます。
「みんな同じ」世界から「みんな違う」それぞれの世界へ! 人間関係の新常識が詰まってます。

『まっすぐ人間関係術』
(著/山崎聡一郎 監修/藤川大祐 イラスト&まんが/茅なや)
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やまさき そういちろう

山崎 聡一郎

教育研究者

教育研究者。「法教育を通じたいじめ問題解決」をテーマに研究や講演を行う。2019年、 著作『こども六法』(弘文堂)が大きな話題を呼ぶ。 同著作は『まんがこども六法 開廷!こども裁判』にて漫画化。 慶應義塾大学SFC研究所所員。 声楽家、 ミュージカル俳優、 写真家としても活躍中。

教育研究者。「法教育を通じたいじめ問題解決」をテーマに研究や講演を行う。2019年、 著作『こども六法』(弘文堂)が大きな話題を呼ぶ。 同著作は『まんがこども六法 開廷!こども裁判』にて漫画化。 慶應義塾大学SFC研究所所員。 声楽家、 ミュージカル俳優、 写真家としても活躍中。