うちの子ほんとに「発達障害」? 「発達障害」を疑われたとき見直すべきこと

小児科医・発達脳科学者が「早寝早起き朝ごはん」を勧める理由

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近年、「発達障害」といわれる子どもが急激に増えています。2022年12月には小学生の約10パーセントに「発達障害」の可能性があると文部科学省から発表されました。

小児科医である成田奈緒子先生は、「発達障害」という言葉が広まった結果、大人が理解できない子、大人の期待どおりに育っていない子、扱いづらい子などが、「発達障害」と疑われているのではないか、「発達障害」のような症状が現れてはいるけれども、ほかに原因がある子どもが多いのではないか、と監修書籍『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』にて警鐘を鳴らします。

子どもが発達障害と疑われたとき、保護者はまずなにをすべきか、『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』より抜粋してお届けします。

まず生活習慣の見直しを!

子どもが「発達障害」かもしれないと感じたり、ほかの人から指摘されたりしたら、驚いたり、不安になる親御さんも多いでしょう。ですが、まだその段階では確実なことはわかりません。すぐに決めつけたりせずに、なぜそう感じたり指摘されたりしたのか、冷静に子どものようすを見てみましょう。学校など外でのようすを尋ねてみることも大切です。たとえ「発達障害」でなくとも、子どもがなにかに困っていることは確かです。

子どもが本当に「発達障害」かどうかにかかわらず、今、困っているのですから、医療に頼る前に、まずは、家庭でできることをしましょう。それは、生活リズムの見直しです。

早寝早起き朝ごはんの生活リズムを

生活リズムを整えるだけで「発達障害」のような症状がなくなるなどと、信じられないかもしれません。また、数字で表せるような効果がみえないせいか、敬遠されがちです。しかし、実際には、これだけで症状がなくなった子どもがたくさんいるのです。

〈『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』より〉

睡眠のリズムを整えよう

①朝日を浴びる
朝5~7時に太陽の光を浴びましょう。窓越しの光でもかまいません。体内時計をリセットして、一日をスタート。

②十分に眠る
「発達障害」のような症状が現れる大きな原因が睡眠不足。現代の子どもは睡眠時間が圧倒的に足りません。睡眠の大切さを知っておきましょう。

睡眠不足でイライラや不注意に
眠ることは心身を成長させ、健康を保つうえで重要な役割をもっています。ところが睡眠不足になると成長ホルモンやセロトニンの分泌が不足したり、疲労がとれなかったりして、役割が果たせなくなります。その影響は、さまざまなかたちで心身に現れます。なかには「発達障害」の症状にみえるものもあります。

8時間睡眠では全然足りない
小学生の睡眠時間は10時間が理想です。未就学の子どもは、さらに長時間の睡眠時間が必要で、5歳なら11時間必要です。

人間は本来、昼間活動して夜は休む動物です。ところが現代の子どもは勉強や習い事、ゲーム、親の仕事などで、生活全体が後ろにずれてしまっています。朝起きる時間は後ろにずらせないので、睡眠不足にならざるを得ません。

10時間の睡眠時間をとろうとするなら、夜8時から朝6時が望ましい時間帯です。夜8時に寝るのが難しいなら、せめて夜9時までには寝かせてください。9時間は睡眠時間がとれます。

〈『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』より〉
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