「子育て」が上手な親の共通点は「待ち上手」 叱る・怒る・罰するから抜け出す大切な習慣 「先生の先生」が解説

【子どもの才能を伸ばす「待ち上手」な親 #1】子どもが伸びる親の共通点とは?

元公立小学校指導教諭、ベネッセ教育総合研究所教育イノベーションセンター主任研究員:庄子 寛之

脱ぎっぱなしの服や放り投げられたランドセル、夕食前に済ませるはずだった宿題が終わっていないのを目にして、黙っていられる親は少ないでしょう。

我が子にはきちんとした生活習慣を身につけてほしいから、親は子どものためを思ってあれもこれも注意してしまいます。

しかし、𠮟る回数が多くなると、親の心の中では簡単なことなのに我が子はちっともできない、あるいは子どもが全然、変わろうとしないという気持ちが大きくなってきます。

「𠮟ることが多くて、子育てがうまくいかないと思っている親御さんは、我が子だから自分と同じようにできるはずだとどこかで思っている方が多いようです。

でも、ここは間違えないでほしいところです。たとえ自分の子どもであろうと、別の人間であり、別の人格です。

親である自分ができたから子どもができるわけでもありませんし、逆に自分ができないから子どもができないわけでもありません。親ができないことを、子どもが難なくやってのけることさえあります。

また、人はすぐには変われない生き物です。大人だって習慣を直していくのは大変なことですから、別人格の子どもが変わるのはもっと根気のいることだと考えてください。

子育てがうまくいかないと感じているなら、子どもを矯正しようと必死になるよりも、まずは親のほうが自分自身に目を向けましょう。子どもの見方や接し方が変わるように、自分を変えていくほうが先決です」(庄子先生)

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子育てがうまくいっている家庭は「待ち上手」!

元公立小学校の先生として大勢の児童を担任し、親御さんともコミュニケーションをとってきた庄子先生は、子育てがうまくいっている家庭とそうでない家庭の特徴的な違いを次のように話します。

「子育てがうまくいっている家庭、つまり親子関係も良好で子どもがのびのびと育っている家庭は、親が『待ち上手』なことがほとんどです。

待ち上手というのは、口出ししたくなるタイミングでもジッと我が子を見守り、子どもを追いすぎないことをいいます。

また、待ち上手の親御さんは、子どもを別の人間ととらえている傾向があり、親である自分の人生をしっかりと歩んでいる方が多いのも共通点です」(庄子先生)

その一方で、子育てにつまずいている親御さんは、我が子と親である自分の人生を一体化して考えている傾向があります。

庄子先生曰く、「我が子のために自分はすべてを捧げている(尽くしている)みたいな方がいたり、親なのだから子どもを中心にするのは当たり前と思っている方」もいるとか。子育てに一生懸命ではあるものの、生活のすべてが子どもに集中している印象が拭えません。

「待ち上手になるには、親が自分の人生を軸にすることが重要です。主軸を子どもではなく親自身にすることが、やがては親子ともに生きやすい環境になっていくはずです。

そのための第一歩として、まずは『自分を整える』ことから始めてみてください。きっと親御さん自身に余裕が生まれて子どもの見方が変わっていき、𠮟るスパイラルから抜け出すことができるでしょう」(庄子先生)

子育てなのに、最初にチャレンジすることが親が「自分を整える」ことというステップに拍子抜けする方がいたり、我が子を優先しないことに不安を覚える方もいるでしょう。

しかし、「自分を整える」ステップは、庄子先生が子育てがうまくいっている親御さんから導き出した習慣のひとつです。親が変わると子どもは自然と変わってくるので、まずは自分のことに集中することから始めてみましょう。

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