「祖父母とベッタリしない」スウェーデン在住ママが教える 子育て負担の意外な減らし方

子ども時代を子どもらしく過ごせるから勉強にシフトできる!? 心地よいスウェーデンの子育て #2

子ども時代は心と体を作ることが何よりも重要

海外では夏休みなどの長期休暇に、子どもたちは宿題に縛られることはほとんどありません。それはスウェーデンも同様です。

「長期休暇はおろか、通常の生活でも宿題はほとんど出ないですし、日本のように学校後に塾通いをしている子もいません。我が家の娘たちは日本でいう小学生時代に毎週土曜日、例外的に日本語学校に通ってはいましたが、ほかの家庭では勉強よりもスポーツで体を動かすことに重きが置かれていました。

子ども時代は子どもらしく過ごして、心と体を育てることが先決だという意識がスウェーデンにはあると思います」(井浦さん)

スウェーデンの教育制度は日本とは異なります。新年度は8月中旬からスタートし、基礎学校9年・高校3年・大学という課程です。このうち義務教育が基礎学校の部分で、日本では小中学校にあたります。基礎学校を卒業するとほとんどの子どもが高校へ進学します。

井浦さんは、子ども時代は勉強は二の次と話しますが、そうはいっても学力は重要です。スウェーデンではいつごろから勉強に舵を切るのでしょうか。

「日本でいうところの中学生になる前に全国学力テストがありますが、そこが大きなタイミングです。小学生なので2〜3教科のテストですが、子どもたちはグッと勉強に向かいます。

そこまで勉強をやり慣れていないので、最初はどう勉強したらいいのか戸惑う子もいるようですが、ここから頭も鍛え始めます」(井浦さん)

遊びやスポーツで心と体が成長すると同時に、人としてのあり方を他人とのコミュニケーションで自学してきたスウェーデンの子どもたちは、その土台が固まったあたりで勉強に取り組んでいきます。

また、お互いの個を尊重する教育や家庭環境が、個性磨きも後押しします。それは自分の意見やオリジナリティーが重要視されるグローバル社会には不可欠な力となっていきます。

日本は通常の学校教育でも、世界的に見るとカバーしている教科が多く、手厚い学習体制が整っています。幼い頃は勉強を詰め込むよりも、心と体をまずは育てるというスウェーデン流の子育てを見習ってみるのもひとつの育児法です。

これからますます色濃くなっていくグローバル社会において、そこで活躍するのに必要なコミュニケーション力や思考力、対人力を子どもに与えることができるかもしれません。

キノコ狩りをしに家族で森へ。幼いころから外遊びを楽しみます。  写真提供:井浦ふみ
子ども時代の最高の楽しみ。次女ミンミンさんの4歳の誕生日会にて。園のクラスの女の子を全員呼びます。超かしましいけれど、どの子どもも思い切り楽しみました。  写真提供:井浦ふみ
子どもの友人の誕生日会で、お菓子を選ぶ子どもたち。スイーツの消費量が世界一ともいわれるスウェーデンでは、量り売りで売られています。こちらは数百種類ものお菓子がある店舗。  写真提供:井浦ふみ
次のページへ 日本のママたちは完璧を目指しすぎている
25 件