「祖父母とベッタリしない」スウェーデン在住ママが教える 子育て負担の意外な減らし方

子ども時代を子どもらしく過ごせるから勉強にシフトできる!? 心地よいスウェーデンの子育て #2

子ども中心にならなくてもいいし、家事も手抜きをしたっていい!

「日本での出産と子育てを経験しましたし、ママとなった友人も見ていますが、日本のママたちは完璧を目指しすぎて、頑張りすぎていると感じます。そんなに周りの目を気にしなくてもいいのになと思うことがありますね。

スウェーデンでは、自分たちで育児や家事の負担を減らしています。子どもの行動でイライラしないように、細かく矯正しない子育てを心がけているとも感じます。

また、日本のように毎食、バラエティーに富んだ立派な食事は作らず、スパゲッティにケチャップをかけたような手抜き料理を平気で出しますし、ミートボールを連日、出すこともあります。

私がスウェーデンで子育てをしていて気づいたことは、この国の親たちはいろいろな場面で育児を負担にしない方法を上手に取り入れているということです」(井浦さん)

子どもと接しすぎたり、完璧を目指したりすると、不満やイライラが募ります。親の苛立ちが子どもの心や生活態度に悪影響を与えることは、多くの人が知っているところです。

「子育てに集中しすぎるとストレスになりますし、子育てはそもそもプレッシャーの大きいことです。ですから、そこを中心にはせずに自分の人生を軸にすることが大切です。

私は先日まで保育園で調理の仕事をしていましたが、50代でパン職人になるべく勉強をしています。定年の65歳まで働くと考えると、少なくとも10年は職人として働けるかなという考えです。

周囲からは『今から方向転換!?』と驚かれることもありますが、自分を持つことが子育てにも暮らしにも精神的な余裕を与えています」(井浦さん)

井浦さんの娘さんはすでに大学生と中学生に成長し、手がかからない年齢に達しています。しかし、気負わないことと自分の世界を持つことで、ここまで心地よい子育てを実現してきました。

そして現在は、「これからも成長をしたいし、別のことを始めたい」との思いから新しい道に踏み出しています。

日本では子育てのプレッシャーが大きく、それが育児中の親、特に母親への負担になっていますが、母親自らが「子育ては◯◯でなきゃいけない。◯◯しなきゃいけない」と自分を型にはめる傾向にもあります。

無意識のうちに自分をがんじがらめにしていないか振り返り、いい意味で手抜きの方法を考えてみることも大切です。手放す勇気を持つことが、スウェーデン流の子育てに近づけるコツになりそうです。

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井浦 ふみ(いのうら ふみ)
福岡県出身。美大卒業後にデコレーターとして働いたあと、渡仏。南仏でスウェーデン人である現在の夫と出会う。パリでの生活を経てスウェーデンに移住し、結婚。長女をスウェーデンで、夫の仕事の関係で次女を日本で出産し、2国での子育てを経験する。スウェーデンでは、北欧雑貨を扱うネットショップの経営や現地の保育園に勤務経験もある。現在は、パン職人になるべく勉強中。

【主な共著や監修書】
「こどもと暮らす北欧スウェーデン」(インプレス)

取材・文/梶原知恵

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かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。