子どもの「脳力」を伸ばす 「AI時代」対応の新型子育て 「夫のトリセツ」の黒川伊保子が伝授 

【AI時代の新・子育て法 #2】AI時代に求められる脳力を我が子に! 子どもの脳の育て方

今の親は、意識的に新型にアップデートしていく必要がある

黒川さんは「我が子の言葉や気持ちをまずは受け止めてあげましょう」と言いますが、なかなか対応を切り替えられない場合もあります。それに対してはどうしたらいいのでしょうか。

「子どもから『今日の算数のテスト、いっぱい当たってた!』といわれても、『算数はよかったけど、国語も頑張らないとね~』なんて親は返したりします。

実際に日ごろの会話を精査してみると、知らない間に子どもの気持ちに水をかけるような対応をしていることが多いものです。

これはひとえに、今、子育てをしている人たちがAI時代以前の旧型で育てられているためだと考えます。『次があるんだから、油断するなよ!』みたいな言葉で育ってきた背景があるので、どうしても反射的にやってしまうんです。

実は現在進行形で子育てをしている方々は、AI時代にふさわしい新型の子育てにアップデートをしていかなければならない、非常に厳しい世代です。

酷ではありますが、旧型から新型に変わるように、意識的に取り組むしかありません。そのための第一歩として、『扉を開けた瞬間』と『扉が開いた瞬間』を気をつけてみてください」(黒川さん)

家に帰宅したときも、子どもを家に迎え入れたときも、大人の脳は問題解決型のシャープな回路を使っている!?

「実は大人の脳は、帰宅した瞬間も、子どもを家に迎え入れた瞬間も問題解決型の脳になっています

それというのも、家に帰ってきたときは、命を守るために最初にネガティブなことに目を向けなければならないからです。反対に家に迎え入れたときも、外から危険が入ってきていないか瞬時に確かめる必要があります。

どちらにしても「究極のあら探しモード」になっているんです。だから、つい小言を口にしてしまいます。

例えば、自分が家に帰ってきたときにパートナーがソファに寝そべってのうのうとしていると、問題解決型のシャープな脳はなんだか腹が立ちます。ひと言言ってやりたくなるんです(笑)。

これは子どもに対しても同じことがいえますから、問題解決型の一方にある共感型の回路を意識的に立ち上げたいものです。ソフトな共感型の回路を使うと、心理的安全性のある対話ができます」(黒川さん)

子どもが無邪気な様子で帰宅しても、子どもを家に迎え入れたときの大人の脳は、「あら探し」モードになっています。意識的に共感型の回路を立ち上げましょう。  写真:アフロ

子どもと優しい会話ができる。共感型回路になる方法

共感型の回路は、右脳と左脳の連携回路です。右脳は感じる領域で、左脳は健在意識を領域としますが、感じる領域(右脳)の出来事を健在意識(左脳)にあげると、自然と共感型になります。

子どもと共感型で対話がしたいなと思ったときは、扉を開ける前、あるいは扉が開いたときに共感型で会話をしようと心に決めることと、感じたことを口にしたり、質問をしてみるのがおすすめです。

例えば、『学校の花壇に植えたひまわりが咲いたよ』と子どもが伝えてきたら、親御さんは頭の中に花を思い浮かべてみてください。

人は自分の感覚を記憶から取り出そうとすると共感型になるので、子どもと続ける会話が優しくなるはずです」(黒川さん)

共感することが子どもの対話力を上げるきっかけとはいうものの、黒川さんは何もずっと優しい会話だけを続けましょうとは言いません。

「共感から始めましょうとは言っていますが、これは𠮟らないで育てましょう、という意味はないので注意してください。ただし、頭ごなしに指摘しない方法をとってほしいのです。

例えば子どもが宿題をやらずにグズグズしていたら、『こんな日に宿題やるなんて最悪だよね~。でも、宿題やらずに明日の教室入るほうが、もっと最悪だし恥ずかしくない? 1問だけでもやってみたら?』という具合です。

共感型の回路を自分で上手に使えるといいですね」(黒川さん)

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