子どもの「脳力」を伸ばす 「AI時代」対応の新型子育て 「夫のトリセツ」の黒川伊保子が伝授
【AI時代の新・子育て法 #2】AI時代に求められる脳力を我が子に! 子どもの脳の育て方
2024.05.25
育児に大切なのはリラックス。時には感情的になっても気にしないで
ご自身の子育てを終え、AI時代を迎え討つ先駆的な子育てをした黒川さんですが、ここまで話をうかがうと穏やかな日ばかり送っていたように思えます。育児で怒り心頭に発したことはないのでしょうか。
「いきなり悪態をつくこともありましたよ(笑)。でも、脳の観点からいうと、時には感情的になったっていいですし、人間なんですから感情的にならないわけがありません。
子どもたちの脳にある感性の地図は、親御さんの喜怒哀楽の落差で描かれていきます。だから、昨日はママに𠮟られて悲しかったけど、今日はママが笑顔でうれしかったというような落差があっていいんです。
人工知能みたいにずっと平坦で穏やかで、笑顔だけだったら、結局、感性の地図は描けません」(黒川さん)
子どもに『今日、学校に着いたら2時間目だった』と言われたら、どう反応する?
親の怒りや悲しみが子どもを育てることもあるから、緊張しないで子育てをしてほしいし、金のルールも毎日、完璧にできなくてもいいと黒川さんは続けます。
「人間の脳はタフだから、1日くらい早寝・早起きができなかったとしても大丈夫です。その傾向が生活にあればOK。それよりもとにかく、子育てを楽しんでほしいですね。
私の息子の話になりますが、小学校1年生のある日、学校から帰宅してきたら『ママ、今日、学校に着いたらねぇ、2時間目だったの』と満面の笑みを浮かべて伝えてきたことがありました。
それを聞いたとき、私はただひたすらにおもしろかったですね。『どこにいたのー!?』って感じでしたし、なによりもこんな愉快で自由な発想の人工知能はつくれないと、息子のことが楽しくてたまりませんでした」(黒川さん)
息子さんの突飛な行動をおもしろがったり、喜んだりする反応は人工知能の研究者ならではのものですが、子どもがなんでも臆せずに親に話せるのは、心理的安全性が家族間にあったからに他なりません。
「どんなことでも表現したら喜ばれるという経験は、発想力を育てるだけでなく、思考力や語彙力にもつながっていきます。
特に8歳以降は、脳の中で長い長い文脈を紡いで自分なりの革新的な答えを出し始める時期なので、しっかりと子どもと向き合ってあげてください。
ママが仕事をしていることにストレスを持っていたり、自分以外のきょうだいに愛情が注がれていると子どもが感じていたなら、1対1でデートしてあげてほしいですね。
何かと比較したり、因果関係を脳の中で急に演算できるようになる時期に深くかかわってあげると、子どもの気持ちは安定しますし、なによりも対話力も上がっていくはずです」(黒川さん)
現在進行形で子育てをしている方は、AI時代にふさわしい新型の子育てにアップデートをしていかなければならない過渡期にいます。
それだけに意識する事柄も多く、子どもと向き合う日々に苦労もありますが、親の対応が変わった分だけ、子どもは自分らしい生き方を謳歌できるはずです。
生きやすい未来を我が子に贈れるよう、少しずつでも新・子育て法を日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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◆黒川 伊保子(くろかわ いほこ)
人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリスト、随筆家。
1959年、長野県生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピュータメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳とことばの研究を始める。1991年、全国の原子力発電所で稼働し、“世界初”といわれる日本語対話型コンピュータを開発。また、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界にも新境地を開拓した感性分析の第一人者。
著書に『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』『夫婦のトリセツ 決定版』『子どもの脳の育て方 AI時代を生き抜く力』(いずれも講談社刊)、『人間のトリセツ──人工知能への手紙』(ちくま新書)、『話が通じないの招待──共感障害という謎』(新潮文庫)など多数。
取材・文/梶原知恵
【AI時代の新・子育て法】の連載は、全2回。
第1回〈子育て「金のルール」 早寝早起き・朝ごはんが脳を育てる理由 「夫のトリセツ」黒川伊保子が脳科学で解説〉を読む。
※公開日までリンク無効
梶原 知恵
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。
黒川 伊保子
1959年、長野県生まれ。人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリスト、随筆家。奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピュータメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳とことばの研究を始める。1991年に全国の原子力発電所で稼働した、“世界初”と言われた日本語対話型コンピュータを開発。また、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した感性分析の第一人者。著書に『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』『夫婦のトリセツ 決定版』(いずれも講談社+α新書)、『人間のトリセツ──人工知能への手紙』(ちくま新書)、『話が通じないの招待──共感障害という謎』(新潮文庫)など多数。
1959年、長野県生まれ。人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリスト、随筆家。奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピュータメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳とことばの研究を始める。1991年に全国の原子力発電所で稼働した、“世界初”と言われた日本語対話型コンピュータを開発。また、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した感性分析の第一人者。著書に『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』『夫婦のトリセツ 決定版』(いずれも講談社+α新書)、『人間のトリセツ──人工知能への手紙』(ちくま新書)、『話が通じないの招待──共感障害という謎』(新潮文庫)など多数。