共働き「俺は仕事休めない」に妻の怒り爆発…「夫婦喧嘩の2大場面」子育て家庭のモヤモヤ解決法を専門家が解説

▲令和の子育てカップルは、男女共に育児するのがあたりまえ。しかし「子どもの世話」に対する危機感が、パパとママで違うことも。(写真:アフロ)
▲令和の子育てカップルは、男女共に育児するのがあたりまえ。しかし「子どもの世話」に対する危機感が、パパとママで違うことも。(写真:アフロ)
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子どもの世話をパパに任せたのに、スマホに夢中で子どもは放ったらかしに……SNSなどではしばしば、ママたちのこんな嘆きが注目されます。

目を離しているうちに、子どもが転んだり、危険なものを口に入れてしまうかもしれない。一人でトイレに行って、危ない目に遭うかもしれない……。

しかし、その危機感の無さを夫に指摘すると、謝るどころか「お前は大げさなんだよ~」と鼻で笑われてしまうことも。

どうして夫は妻と同じ危機意識で、子どもの安全を考えられないの? 何かあってからでは遅いのに!

布柴先生は、こう指摘します。

危機感の差、個人の性格だけではない

「この危機感の差は個人の性格だけではなく、日本社会で長年続いてきた、父親と母親の役割分担が影響しています」

夫が、妻と同じような「危機感」で育児に関われないのは、長い間、積み重なった問題だということです。

「昭和の高度経済成長期には、“男は仕事、女は家事育児”という、性別役割分業の構造がありました。その構造の中で育った多くの男性は、『育児は母親がやるもの』と、無意識のうちに思い込んでいて、子どもとの関わりも、母親に多く任せてしまいがちです」

(写真:アフロ)

令和の今では「子育ては夫婦でするもの」との考えが広がっているはず。ですが前の時代の思い込みから、多くの家庭ではまだ、育児の負担が母親側に偏っています。

この偏りは睡眠不足や産後うつなどの問題を引き起こしていますが、それだけではなく、子どもをめぐる危機感の差にも影響している、というのです。

妻の意見、否定する夫の「隠れた心理」

「育児を主に担っている母親たちは、子どもの生活をより細やかに見ている傾向があります。子どもと関わる機会がより少ない父親の場合、母親と同じ細やかさでは見ていないので、意見が異なりがちなのです」

身の危険に関わる場合は重大ですが、そうでなければ「意見の違い」自体は悪いことではないと、布柴先生は言い添えます。

細やかな母親とは違う父親の視点が入ることで、子どもへの過干渉を防げるケースもあります。

「意見の違いを話し合う前にスルーされてしまうときには、伝え方にヒントがあります」

「『あなたは危機感が足りない』のように、相手を主語にして伝えると、相手はそこから支配やコントロールの意図を感じます。そこから逃れようとして反射的に、こちらの意見を否定してしまうのです」


夫婦で一緒に考えたい子どもの安全対策でも、伝え方によっては、反射的に否定されてしまう。そこで話し合いができなくなるのは、夫婦の不仲に止まらない、子どもにもリスクの及ぶ状況です。

否定されずに話し合いに入るには、どうしたらいいのでしょうか。

拒否されずに伝えるコツ

「反射的な否定は、伝え方を変えることで避けられます。『あなた』ではなく『私』を主語にして、自分の感じているリスクや心配を伝える方法です」

私はこうなるのが怖い、私は子どもがこうなるのを避けたい、と、「私は」と話し始める。そしてリスクを感じている状況を、具体的に説明する。

この伝え方なら、相手は「自分を支配しようとしている」と感じず、リスクの説明に耳を傾けやすくなります。

「不安や驚きがあっても、それを伝える相手を傷つけない表現を使うことも大切です。それは意識して行えば身につけられるもので、心理カウンセリングでは『アサーション・トレーニング』という方法があります」

「夫婦仲や家族関係の相談に来る方には、怒りの感情に流されない『アンガー・マネジメント』と一緒に取り入れてもらうと、とても効果があるんですよ」
(布柴先生)

「俺は仕事を休めないよ」に怒り爆発…!

育児生活でのイライラ・モヤモヤには、定期的に繰り返されてしまうものもあります。

育児で仕事を休むのは、いつも母親。なんでこうなるの?
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