「令和の思春期」大暴れ・スマホ依存・反抗期がない… 親がとるべき対応を専門家が徹底解説

スマホを取り上げたら大暴れ! どうすればいい? 思春期の反抗期 乗り切りガイド#4

明治大学文学部教授:諸富 祥彦

シングル家庭やステップファミリーでの思春期の乗り越え方

現代は家族の形が多様化しています。シングル家庭だけでなく、親が新しいパートナーと家庭を築くステップファミリーも多くなっています。

ひとり親で子育てを一手に担ったり、新しく家族となって血縁関係がなかったりする場合は、子どもの思春期をどう乗り越えていけばいいのでしょうか。

「まず、シングル家庭の場合です。現在、女性のひとり親が多いのですが、父親がいない分、お父さんの代わりに子どもに厳しく接しなきゃと思っている人が多いようです。

しかしそれは、心理的には母親不在の状態になります。厳しくしすぎると子どものつらさを受け入れてくれる人がいなくなってしまうので、母親が父親の代わりを務めることはありません。

シングルだというコンプレックスを抱くよりも、母子でいることの楽しさを優先した生活を送りましょう。

ステップファミリーの場合ですが、特に小学校6年生~高校1年生ごろまでは、家庭環境に大きな変化は避けたほうが無難です。もし思春期に新しい家族を築くのなら、友だち親子を目指しましょう。

また、いずれの場合も子どもが反抗的な態度を見せたら、これまでに紹介した反抗タイプに合った対応をしてみてください」(諸富先生)

シングル家庭でも、ステップファミリーでも、楽しい雰囲気の家庭を築くことが思春期を乗り越えるカギになると諸富先生は語ります。

親が家庭環境の複雑さに負い目を感じずに楽しそうに過ごしていると、子どもは「幸せそうな人が自分の子育てをしてくれている」と感じて、自分の境遇に安心感を得るはずです。

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令和時代は思春期がほとんどない子どもも増えてきていますが、親とのコミュニケーションを面倒くさがったり、ドアをバタンと閉めたりするなどの反抗的行動に出る子はまだまだ多く見られます。

親は子どもが思春期に突入した場合、手や口を出したくなるような場面であっても、大人へのステップだと捉えて一歩引いた姿勢を心がけましょう。成長段階では傷つくことも失敗することも、恥をかくことも、どれも大切な経験です。

それをひとつひとつ我が子が自分でクリアにすることで、困難に打たれ強く、きちんと悩んで自己解決できる大人になれるはずです。

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諸富 祥彦(もろとみ よしひこ)
明治大学文学部教授。教育学博士。1986年筑波大学人間学類、1992年同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授を経て、現職。40年以上のカウンセラーキャリアを持つ。臨床心理士、公認心理師、上級教育カウンセラーでもある。

【主な共著や監修書】
「思春期の育て方」(WAVE出版)
「反抗期乗り切りマニュアル─『こんな時どうしたらいい?』がわかる」(主婦の友社)
「“承認欲求”、捨ててみた 『人から嫌われてもかまわない強い心』を育てる 9つの自己改造トレーニング法」(青春出版社) など


取材・文/梶原知恵

『思春期の反抗期 乗り切りガイド』の連載は、全4回。
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※公開日までリンク無効

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もろとみ よしひこ

諸富 祥彦

明治大学文学部教授

明治大学文学部教授。教育学博士。1986年筑波大学人間学類、1992年同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授を経て、現職。40年近いカウンセラーキャリアを持つ。臨床心理士、公認心理師、上級教育カウンセラーでもある。 【主な著書と監修書】 『ひとりっ子の育て方』(WAVE出版) 『イラストでわかる自己肯定感をのばす育て方』(池田書店) 『思春期の子の育て方』(WAVE出版)など

明治大学文学部教授。教育学博士。1986年筑波大学人間学類、1992年同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授を経て、現職。40年近いカウンセラーキャリアを持つ。臨床心理士、公認心理師、上級教育カウンセラーでもある。 【主な著書と監修書】 『ひとりっ子の育て方』(WAVE出版) 『イラストでわかる自己肯定感をのばす育て方』(池田書店) 『思春期の子の育て方』(WAVE出版)など

かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。