子どもの「偏食」とは? 発達相談員、小児科医、管理栄養士が原因と対策を解説
「好き嫌い」はどうするの? 専門家による対策アドバイス+レシピも掲載
2023.09.09
目次
発達相談員、小児科医、管理栄養士たちの助言
偏食とは特定の食べものだけを避けたり、偏って食べたりすることです。好き嫌いが激しい状態、と言い換えることもできます。
偏食は子どもの健全な発育を妨げる可能性があるため、できるだけ早い段階できちんと対応したいもの。でも偏食の原因はさまざまです。専門的な知識を持たないパパママが、原因を見つけてそれに対処することは簡単ではありません。
この記事では発達相談員や小児科医、管理栄養士といった専門家のアドバイスから振り返り、子どもの偏食に正しく向き合うためのヒントを見つけて行きます。
「幼児に偏食はない」 発達相談員が語る理由
発達相談員のひだゆうさんに日々寄せられる相談の中で、特に多いのが「食の悩み」。たとえば「お肉とポテトフライしか食べない」「白米とみそ汁しか食べない」などが典型的な相談内容だと語ります。
ところが、ひだゆうさんによると、これらは「幼児期特有のもので、だれにでもありえる悩み」で、まじめな保護者ほど自分を責めたり、他人の声にストレスを感じたりしているといいます。
そんなパパママに対するひだゆうさんのアドバイスは「もう少し肩の力を抜きましょう」というものです。幼児期においては、そもそも味覚が成長段階のため「偏食」は存在しない、と教えてくれました。
離乳食期の悩み 「ごはん外来」小児科医の解決法
そうはいっても、子どもの(いわゆる)偏食は、多くのパパママにとって深刻な悩みです。神奈川県で「ごはん外来」を開設している小児科医の江田明日香先生は、子どもが離乳食を食べてくれない、食べているのに体重が増えないといった「離乳食期の悩み」を解消するためのヒントを伝えています。
たとえば「食べているのに体重が増えない」のは、単純に離乳食の栄養が足りていないから。よくある一般的な離乳食マニュアルに頼り切っているパパママが陥りやすいケースだといいます。
「手づかみ食べ」 赤ちゃんの3つのOKサイン
小児科医の江田明日香先生が開設した「ごはん外来」で目指すのは、「子ども自身の食べるスキルをやしなうこと」。そのために提唱しているのが「手づかみ食べ」です。
手づかみ食べとは、その名のとおり子どもが自分の手で食べ物をつかんで口に運ぶこと。厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では生後9ヵ月から手づかみ食べが始まる、と書かれていますが、「それでは遅い」と語る江田先生。実は「5~8ヵ月ごろが、もっとも手づかみ食べの開始に適している」と強調します。
自分で食べる子どもになる「手づかみ食べ」3ステップ
「ごはん外来」で推奨している「手づかみ食べ」は、既存の離乳食マニュアルとは全く違う離乳食の進め方です。実践のポイントは「硬くて大きなもの」から始め、「唾液で溶けるもの」「歯茎や前歯でかじり取れるもの」へとステップを続けること。自分の手で食べることで、赤ちゃんが自分の食べる量をコントロールできることもメリットです。
一方、窒息の危険を心配するパパママもいます。江田先生は「これまで手づかみ食べをしているお子さんに、特に窒息事故が多いという報告はありません」としつつ、「窒息の危険がある食品は与える際に工夫をする」ようアドバイスしています。
小児科医が教える「自分で食べる幼児の育て方」
小児科医の江田明日香先生によると「偏食はただの好き嫌いとは全く違うもの」です。医学的な偏食は「20品目を食べられるのかどうか」が基準で、栄養素が大きく偏っている場合や、食べられる食品が少ない場合などは、医学的な検査や専門的な支援が必要だといいます。
コロナ禍の影響で、一時期はパパママが相談できる場所がとても限られていました。子どもの食で悩んでいる人の力になりたいと、江田先生は積極的にSNSで発信しています。離乳食講座やQ&Aなど、ぜひ子育てのヒントにしてみてください。
「子どもの献立決めの法則」で悩まない! 管理栄養士が伝授
管理栄養士でYouTuberのあおいさん。もともと保育園勤務の管理栄養士でしたが、コロナ禍の2020年6月にYouTubeチャンネル「あおいの給食室/子どもと食べる魔法のレシピ」を開設。レシピ動画が反響を呼び、今では登録数21万人の人気チャンネルになっています。
あおいさんの動画が人気を集めているのは、献立作りに悩んでいる人が多いため。「まず肉・魚・大豆・卵の4種類主菜を決め、それをローテーションする」「次に副菜を決める」という「チャート式献立作成法」は、保育園関係者だけでなく主婦や管理栄養士を目指す学生、高齢者の家族から注目されています。
好き嫌いが消える「3つの魔法」 保育園管理栄養士のヒント
管理栄養士あおいさんのレシピには、子どもの好き嫌いをなくすためのヒントもあります。
「魔法のごはん」と名付けたレシピのポイントは「野菜をよ~く炒める」「同じ献立を繰り返し出す」「調理の過程を見せる」という、とてもシンプルなものです。
園児がリクエスト「神レシピ」3選 特別公開!
好き嫌いの多い保育園児が何度もリクエストしたという、管理栄養士あおいさんの「神レシピ」。記事では栄養たっぷりの「レバーの竜田揚げ」や、先生たちからも好評の「ほうれん草のツナサラダ」、トマト嫌いを克服した子が多いという「トマトとしめじのマリネ」のレシピを紹介しています。
レバーの竜田揚げ
【材料】(大人2人+子ども1人分)
・豚レバー 250g
・片栗粉 大さじ4
・揚げ油 適量
〈A〉
酒、しょうゆ 各小さじ1/2
ごま油 小さじ1/3
生姜のしぼり汁 少々
〈タレ〉
ピーマン 1個(40g)
ごま油 小さじ1/2
〈B〉
水 40ml
酒 小さじ2
砂糖、しょうゆ 各大さじ1/2
【作り方】
① レバー250gはよく洗い、血抜きをしてざるに上げ、水けをきる。ポリ袋に入れて、A(酒、しょうゆ 各小さじ1/2、ごま油 小さじ1/3、生姜のしぼり汁 少々)を入れ、レバーを加えてもみ、冷蔵庫に15分ほど置いておく。ピーマン1個は1センチ四方に切る。
② タレを作る。小さめのフライパンにごま油 小さじ1/2を中火で熱し、ピーマンを3分ほど炒める。B(水 40ml、酒 小さじ2、砂糖・しょうゆ 各大さじ1/2)を加えて弱火にし、3分ほど煮詰める。
③ ①のレバーをざるに上げ、汁気をしっかりときる。揚げ油を中温(約170度)に熱し、レバーに片栗粉大さじ4をまぶして入れ、5分ほど揚げる。器に盛り、②のタレをかける。
「レバーは揚げる温度が高すぎると油はねして爆発するので、温度には要注意です」(あおいさん)
「魔法の時短レシピ」 うまい! はやい! 子どもが食べる!
簡単に作れて栄養バランスのいいレシピは、忙しいパパママにとっても大いに参考になるはず。野菜がたくさん入った「中華丼」、冷凍もできる「ピザトースト」、混ぜるだけでできる「納豆ときゅうりのごはん」。どれも手軽に作れるレシピなのでぜひ活用してみてください!
まとめ 「子どもの偏食の原因と対策」
食は子育ての基本です。多くのパパママにとって深刻な「偏食」の悩みから、子どもの好き嫌いを解消する簡単レシピまで、過去記事の中にはヒントになるアドバイスがたくさんつまっています。ぜひ気になるものからおさらいして、日々の子育てに役立ててください!
また、気分転換にこんな絵本をお子さんと一緒に読むのもおすすめです。